第33章 笑顔
そこから、ナルトの暴走が始まった。
まるで大蛇丸しか目に入っていないみたいに、彼だけを狙い続ける。
彼は彼で戦いを楽しんでいるようで、相変わらず笑みを浮かべていた。
ナルトの尾獣化が始まり、攻撃も規模がでかくなっていく。
明らかに格が違う攻撃に、私は自分に被害が及ばないように少し離れた場所にいたが、ついにナルトが橋をも破壊した。
「サクラちゃん!・・・って、気絶してる・・・!」
橋が斜めになっていく中で、いつの間にか気絶しているサクラを回収したあと、ヤマトの傍へ戻った。
「サクラちゃん、起きて」
「サクラ!」
私とヤマトがサクラに呼び掛ける。
そして何度目かの声に、サクラが目を開けた。
「あ、起きた。おはよう、痛いところはない?」
「ナルトは!?」
「落ち着きなよ、サクラちゃん」
サクラは目を覚ました途端、キョロキョロと辺りを見渡した。
そして、橋が無惨な姿に変わり果てていることに気がつく。
ヤマトとサクラが話している間に、私は分身を出し、ナルトがいる方向へ向かわせた。
すると、スイレンが「自分も見に行きたい」と言い出したので、「いってらっしゃい」と言って送り出した。
(遠足じゃないんだけど・・・スイレン、わかってんのかなあ)
すると、後ろからカブトが近づいて来ていた。
「どうやら・・・サソリはここへは来ないようですね」
「げ・・・メガネ・・・」
(なんなら、そのまま気を失っていればよかったのに)
「ハハ・・・どうやらボクは完全に君に嫌われてしまったらしい。大蛇丸様は今、かなり君にご執心だ。君に嫌われるのは困るんだけどな」
「・・・別に、嫌っているつもりではないです。苦手なだけです。もしかしたら嫌いかもしれないけど」
「まあいいさ。ところで、サソリはどうした?」
そのあとカブトは、おおむね「サソリが死んでくれたほうが都合がいい」ということを言った。
それに対しサクラが肯定の言葉を返すと、彼は口角を上げた。
「それは嬉しいね」
その笑みに苛ついて、思わず帰りたいなと考える。
「笑うのやめてもらえますか」とは言えるはずもなく、ため息をつきながらナルトたちがいる方向に目線を投げた。