第33章 笑顔
―――ついにこの日がきた。
私たちは、天地橋にいた。
「・・・うひょー、緊張するねー。ね、サイくん」
「いえ、僕は別に・・・君、こういうの慣れてないんですか?」
「うん、まあね。私、チームワークとか苦手なんだよ」
「へえ・・・君、額当てをしてないけど、木ノ葉の人間じゃないよね」
「うん」
「・・・意外だな、否定するのかと思ってたよ。君のこと、誤解していたかもしれない」
「なんて思ってたの?」
「コソコソする計算高いチビ」
「・・・へえ」
少し離れた橋の上では、サソリに扮したヤマトと、どうやらサソリのスパイだったらしいカブトがいた。
(私、あの人苦手かもしれない・・・)
風が強すぎて何を言っているのかは聞こえなかったせいか、緊張はしなかった。
そして、ついにあの男が現れた。
「大蛇丸・・・!」
ナルトが声を荒げ、身を乗り出す。
私も彼の名前を呟いてしまい、そのあと「うわー・・・」と思わず渋い顔をしてしまった。
そして、ヤマトが私たちに向かって合図を出した。
それを見て、橋の上に降りると、すぐに大蛇丸と目が合う。
ニヤリと寒気が走りそうな笑みに苦笑いを浮かべる。
「幾度か見た顔ね。九尾の子もいるみたいだし・・・フフ、クロちゃんとは縁がありそうね。どう?私のものにならない?」
「・・・遠慮しときます」
「釣れないわね。でも私、あなたは手に入れたいと思っているのよ」
「私、平和主義なので」
「理由になっていないわ。でもね、あなたよくウチに遊びに来ているじゃない」
「・・・語弊がありますね。私はサスケに会いに行っているんです」
「まあいいわ。おしゃべりはここで終わりになりそうね」
大蛇丸はそう言って、私の横へ目線を移す。
大蛇丸の目線の先には、ナルトがいた。
(うわ・・・怒ってる、怒ってる。九尾チャクラが漏れてる・・・)
「やばいねー、怖いねー」
「ちょっとクロ!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?あとで聞きたいことがいっぱいあるんだから!」
「はは」
(やっぱりいろいろ聞かれるかなー・・・怒られるかも)
ナルトは大蛇丸に対して、怒りの感情しか向けていなかった。
それはサクラも同様だった。
無理もない。
サスケを連れ去った張本人が目の前にいるのだ。