第33章 笑顔
「・・・それはどういうことかな?君は何かボクに不満でもあるのかい?」
「まさか。ヤマトさんは隊長ですよ?信頼していないわけがないじゃないですかー。現時点で、私の命はヤマトさんのものです。私をどう使おうが、あなたの勝手ですよ」
ニコリと笑みを浮かべた後、「もちろん、従うかどうかは別ですけどね」と付け加える。
するとヤマトは、苦笑して私を見た。
「なるほどね。君はそうして綱手様の信用を得ていたわけか」
「いいえ?それはあくまで地道な努力ですよ。で、話を戻しますが、サクラちゃんはこの班の中で唯一の医療忍者です。負傷させるわけにはいきませんよね」
「ああ。だからこそ人数が多い方が・・・」
「たしかにそうですね。私もサクラちゃんに死んでほしくありません。でも、ヤマトさんって私のこと信用してくれてませんよね?それならいっそ、やめた方がいいかと」
「・・・あくまでボクの為だと?」
「私の為です。でもどうせ、カカシさんから何か聞いてきたんでしょ?」
「たしかに、カカシ先輩から君の情報は口頭で聞いている。何せファイル上には記録が何もなかったからね」
「調べるのは別にかまいませんよ、何も出てきませんし。あーあ、やっぱり額当てがあるのとないのじゃ違いますねー」
ヤマトは何も言わず、私を見ていた。
探るような、疑うような、そんな目にももう慣れてしまった。
気分が悪くならないというわけではないけど、仕方ないとも思う。
「だから、お願いしますね。私は単独で動きます。大丈夫です、命令には従いますよ。あ、ちゃんとシュミレーションには参加しますー」
「・・・」
「私のこと、信用してくださいね。ヤマトさん」
(・・・ま、無理だろうな。この人、すごい警戒心強いし)
「あ、こんな偉そうなこと言ったら、私の評価、悪くなります?なら撤回しますけど」
「いや、いいよ。別に悪くならない」
「そうですか。それじゃあ私、先に戻りますね」
ヤマトの横を通り過ぎる。
その間にも彼はその場に突っ立ったままで、私のほうを見向きもしなかった。