第33章 笑顔
翌朝、目を覚ますと、昨日と同じように人型のスイレンの腕の中にいた。
「・・・スイレン?」
「あ、おはよう。よく眠れた?」
「うん・・・あれ、サクラちゃんは・・・?」
「いるよ。キミの横に」
「あ、ホントだ」
昨日早く寝たせいか、今日はまだ朝早いようだった。
隣に布団を並べ、寝ているサクラがいた。
かなりスローペースながらにも身支度を整え終えると、部屋を出た。
『どこ行くの?』
「外。日を浴びたいの」
『ふーん』
朝日を浴びると体のスイッチが入るとどこかで聞いたことがある。
外に出ると、朝のせいか日は上っていたけど、なんだか涼しく感じた。
なぜか人型のままのスイレンといっしょに、近くにあった木に腰掛ける。
葉があるせいで陽があたったのは足元だけだったけど、十分に暖かく感じた。
「もう人型じゃなくていいのよ?」
『こうすればキミに触れられるでしょ』
「・・・私さ、アンタが男だったらたぶん好きになってるよ」
『え!?じゃあ今からでも』
「やめろ」
『くっそー、惜しかったなー・・・最初に会ったとき、女の方が警戒心解いてくれると思ってたけど、やめとけばよかった』
「スイレンは美人だからそのままでいいよ。それに恋とかしてる場合じゃないし・・・これから、大変なんだから」
スイレンが何か言おうとしたが、その時ちょうど家の扉があいて、ヤマトが出てきた。
何か用があるのか、と思い立ち上がる。
ふと横を見るといつの間にかスイレンがオオカミ姿に戻っていた。
「早・・・おはようございます、ヤマトさん」
「おはよう。今日は随分と早いんだね」
「昨日すぐ寝ましたから」
「そうだったね。そのせいで今、ボクが君のところに来なきゃいけないんだけど」
「ははは」
ヤマトが話し始めたのは、今日の予定と作戦についてだった。
作戦については、「大蛇丸のスパイはあくまで殺さない。拘束することが目的・・・」とのことだった。
「それと、今日の予定だけど・・・君とボクとサクラのバディチームとして、今日はシュミレーションを行う」
「・・・私、嫌いじゃないですよ、慎重派の人」
「それはどうも」
「でも、私抜きの方がいいと思いますよー」