第3章 里と犠牲と守るもの。
「起きて」
「んー・・・お、ハル・・・?」
サスケは目を擦って、私の名前を呼んだ。
少しヨダレの跡がある。いや、それも可愛いけど。
「んー・・・」
「ほら、起きて?」
「まだ寝る・・・」
数分後。
「・・・ねっむ・・・・」
「サスケ兄さん、ちゃんと歩いてよ」
「分かってるゥ・・・」
何とかサスケを起こして、居間へ向かう。
サスケにいつの間にか手を繋がれながら歩く。
「あら、サスケ。おはよう」
「母さん、おはよう」
「サスケ、おはよう」
「おはよう、兄さん。父さんも」
「ああ」
今日は、全員でご飯を食べるらしい。
「・・・・・・」
「どうしたの?」
「あ、ううん、何でもない」
(ただ、珍しいと思っただけ)
すると母は私の思ったことが分かった様に言った。
「ああ、イタチは今日は午後かららしいわ。私たちも朝御飯食べたら会合の準備をしなきゃいけないの」
「ふーん・・・」
「サスケも今日はアカデミーみたいだから・・・しばらくハル一人になっちゃうわね。どうしよう・・・」
「あ、ハルは大丈夫だよ。いい子しとくから」
「ごめんね?一回、私たちも帰ってくるから」
「・・・ううん、平気だよ」
ご飯を食べ終えて、家族全員で少し遊んだ。
こんなことは初めてだったので、素直に嬉しかった。
母も、サスケも、イタチも、父は少しだけだけど、笑っていた。
昼になり、皆が出掛けていく。
サスケは少し前に「いってきまーす!」と元気に家を出ていった。
父と母は、私の頭を交互に撫でて行った。
そして、今はイタチが出掛けるところだ。
「ハル、寂しくないか?」
「?ううん?どうしたの?」
「いや・・・何でもない。ごめん、変なこと言って」
(・・・今、言っちゃおうかな)
この前から頭の中にあった思いを言葉にする。
「ねえ、イタチ兄さん、」
「・・・ん?」
「任務、大変?」
「え・・・」
「暗部って、大変でしょ?」
「まあ、な・・・」
「あの・・・イタチ兄さん、は・・・悪くない、よ!ハルは知ってるよ。イタチ兄さんが誰よりも優しいこと」