第3章 里と犠牲と守るもの。
「・・・ハル?」
妹はすやすやと寝息をたてている。
それに思わず笑みを溢し、頭を撫でる。
「・・・・・・」
今日、ある任務についた。
任務が実行されるのは、あと数日後。
(・・・俺は)
今日、ハルが自分の部屋にいたときはビックリした。
窓に座っている妹が、月に照されてどこか遠くを見るその視線が、何だか悲しげだった。
少し風がふいて、カーテンと共に長い黒髪が揺れた。
こちらを振り返るハルを死なせたくないと思った。
(・・・俺がやらなくちゃいけないんだ)
ハルを、サスケを守るためなら。
翌朝、目を覚ますと、イタチは隣には居なかった。
(・・・いない・・・もう出掛けたのかな)
居間に降りると、母が朝御飯の支度をしていた。
「あら、ハル、おはよう。もうすぐご飯だからね。悪いけど、イタチと父さん、呼んできてくれない?」
「え、あ、うん・・・おはよう」
「頼んだわよ~。あ、それが終わったら、サスケ起こすの頼んでいい?」
「うん」
どうやら、今日はまだ家族全員いるようだった。
父の部屋に向かうと、父は新聞を読んでいた。
「・・・・父さん」
「・・・ハルか。何のようだ?」
「えっと・・・母さんが、ご飯・・・呼んできてって・・・」
「そうか。分かった。すぐ行く」
「・・・ん」
次に、イタチ。
イタチは、縁側で外を眺めていた。
「イタチ兄さん」
「ハル。おはよう」
「お、おはよう。母さんが、ご飯出来るからって」
「そうか。分かった、すぐ行くよ」
「うん」
そして、サスケ。
サスケはまだ寝ていると母が言っていたので、サスケの部屋に向かった。
部屋のドアを開け、顔を部屋のなかに入れて声を掛ける。
「・・・サスケ兄さん?」
見ると布団がもっこりしていて、まだ寝ているようだ。
「・・・入るよー・・・」
(うおっ・・・寝顔可愛い!)
内心、悶えた。が、深呼吸をし心を落ち着ける。
「・・・サスケ兄さん。起きてー?」
「・・・・・・・・んー・・・」
ユサユサと身体を揺さぶる。