第32章 二年
次の日。
「おい、ハル」
「あ、飛段さん。お出かけですか?」
「まあな。一応言っておこうと思って」
「はい。いってらっしゃい」
暁の象徴とも言える衣を纏っているところを見ると、任務だろうというのが安易に推測できた。
「おい角都、まだか?」
「・・・もう行く」
彼らは仲がいいと思う。
現にこうして、ペアを組んでいるわけだし。
「んじゃ、行ってくるわ」
「気をつけて行ってきてくださいね」
「・・・ああ。お前もむやみやたらに外に出るんじゃないぞ」
「あは、そうですね」
そう言って、現在アジトにいるのは私だけになった。
アジトに一人でいること自体はめずらしいことではないのだが、こうも立て続けに外出されると、みんなが帰ってくるか不安になる。
(仮にも犯罪者だしな・・・でもみんないい人なんだよなー)
罪を犯した人間は、皆等しく悪となる。
正義は悪に勝るというし、前の世界のちびっ子向けの戦隊ものは必ずヒーローが活躍していた。
すべてはハッピーエンドで終わる。
ならば、私の人生もそんな風に終わるのだろうか。
(いつか、みんないなくなっちゃうのかな・・・)
悪は滅せられるべきものである。
それに従い、暁のみんなを悪というのなら、私は彼らに死んでほしくないと思う。
「・・・ひとりになりたくないっていうのは、贅沢かな」
(まったく・・・私はいつからこんなに子どもになってしまったんだ?)
「スイレン、することないし昼寝でもする?」
『え?・・・ちょっと、寝るの早すぎ!寝つき良くて寝起き悪いって、一番いやなパターンだよ!』
悪いことを考えるのはやめよう。
その分だけ悪いことが降ってくる。
―――明日も、みんなが生きていられますように。