第32章 二年
アジトに帰ると、居間にはイタチと鬼鮫、角都と飛段がいた。
「おかえり、ハル。今日はずいぶんと早いんだな」
「ただいま。イタチ兄さんが早く帰ってこいって言ったから」
「そうだったな。ほら、手を洗ってこい」
返事をし、手を洗いに行く。
デイダラとサソリは何日か前から任務で出かけていて、今は不在だ。
戻ると、ソファでみんなと何やら話しているイタチの隣に座り、話を聞くことにした。
「あ、そういえばみなさん。デイダラが今晩にでも仕掛けるようですよ」
「仕掛ける?あー・・・もうそんな時期か。ったく、あれやんの疲れるんだよなー。なァ、角都」
「フン、オレは別に平気だ」
何について話しているのかはよくわからないが、何かあるということだけは分かった。
説明を求めるようにイタチを見れば、彼は困ったように笑った。
「んー・・・まだハルには早いかな」
「えー・・・」
「あ、そういえば、オレと鬼鮫は明日から用があって出かけないとといけないんだ」
「うん、わかった。いつ帰ってくるの?」
「まだわからないんだ、ごめんな。できるだけ早く帰ってくるから」
「ううん、無事ならそれでいいの」
そう言えば、イタチは笑った。
「鬼鮫さんも、ケガしないでくださいね」
「・・・そうですね。でも、私は強いのでちょっとやそっとじゃあ傷なんてつけられませんよ」
「フフ、なら安心です」
鬼鮫はそう言っていたが、それもそうかと思った。
(いつも傷一つないもんね・・・)
そうしてしばらく話していたが、私が大きなあくびをしたことで、寝ることとなった。
寝る間際まで、イタチの言っていた「大人の事情」というのが気になったが何も聞かないことにした。
きっと、私に聞かれたくないことなのだろう。
無理に詮索するつもりはなく、私も気にしないことにした。
その「大人の事情」は、後日内容を知ることになるのだが。