第31章 残念ながら
「―――っと・・・セーフ!」
空中で大きな鳥になってくれたスイレンにキャッチされる。
『危ないじゃん!急にどういうつもり?』
「だってこうでもしないと逃げられないかな・・・と。呪印のこと聞かれても適当な言い訳が思い浮かばなくて。・・・とりあえず、カカシさんのところに行って、それから帰ろうか」
『もう・・・無茶ばっかりするんだから!』
「だってスイレンが受け止めてくれるってわかってたし」
『そうだけど!そうだけど!』
後ろを向けば、二人は追ってくるわけでもなく、ただ私たちを見ていた。
(なんか、今日帰るのが怖くなったかも・・・)
少し行くと、森の中を走っているカカシの姿が見えた。
追いかけてこなかったのか、と安心すると同時に、なんとなく少し残念な気分になった。
カカシの目の前に飛び下りると、彼は足をとめた。
「カカシさん、どーも。クロは無事ですよー」
「・・・あ、お前か」
「お前かってなんですかー。あ、綱手姫の報告はカカシさんに任せていいですか?私じゃよくわからないので」
「・・・」
「あ、なんですか、もしかして罪悪感でも感じてます?私より報告を優先したこと」
「いや」
「それならいいんです。たとえ私が絶体絶命のピンチに陥っていたとしても、放って逃げてください」
「私は木ノ葉の人間じゃないですから」と付け加えると、ジャンプして空で待機してくれていたスイレンの元へ戻る。
「ちょっと皮肉っぽかったかな?」
『うーん。よくわかんないけど、別にいいんじゃない?』
「・・・ま、いっか」
カカシの姿が見えなくなってから、変化を解く。
ずっとクロの姿のままだったので、元の姿に戻るのは開放感がある。
「帰ろう、スイレン。二日ぶりの帰宅だよ」
そのままアジトへ帰ることにしたが、念のため近くで降りて、スイレンはいつものオオカミ姿で帰ることにした。