第31章 残念ながら
そこだけをボーッと見ていると、人影が見えた。
「ん・・・?カカシさん、あそこ!」
「え?あ・・・」
先ほどの二人。イタチとサソリがチラリと見えた。
サソリの赤髪が見えて、わかりやすい。
二人はそのまま、歩いていた。
「行きましょう、カカシさん!あそこ、なんかあるって絶対!」
「ちょちょ・・・引っ張るなって」
「急がなきゃ・・・見失っちゃいます」
カカシの袖をグイと引っ張り、なおも進む二人を指さす。
黒猫のスイレンを抱きかかえ、走り出す。
スイレンは抱きかかえられるのが珍しいのか『おお!』と感動の声を上げていたが、『向こうの山に行くなら三十度左だよ』などと教えてくれていた。
「ハァ・・・あれ?いない・・・」
「んー・・・でもまだ近くにいるんじゃない?探してみよう」
二人の姿はすでになかった。
歩くのが速いのか、もしくは付近に大蛇丸を見つけたか。
キョロキョロと見渡していると、スイレンがスンスンと辺りの匂いを嗅いでいた。
「・・・どう?何かわかりそう?」
『そうだなあ・・・とりあえず、向こう行ってみたら?ここら辺にいることは間違いないんだし』
スイレンが言った方向に足を進める。
そして、微妙に色の違う木のところまで来たが、特に姿は見つけられなかった。
「ハア・・・いませんね」
木をさわるが、偽物でもなく、特に仕掛けがあるようにも見えなかった。
ダメか・・・と思わずため息をつく。
(もしかしたらあと一歩だったかもしれないのに)
木々の間にあるむき出しになっている岩をさわりながら思う。
(ここが入口になってたりし―――)
ガコン。
「うわっ」
前のめりにベチャリと倒れこんだ私。
後ろを振り返れば、私を覗き込むスイレンとカカシの姿があった。
『お。本当に入口になってたり・・・したね』
「あらあら派手にこけちゃって・・・お前、大丈夫?」
「え、あ・・・はい、大丈夫です」
どうやら、どこかの入口を開けてしまったようだ。
「こんなのでいいのか?」と思わず呟いてしまったが、誰も聞いておらず、ひとり言になった。