第31章 残念ながら
「どうせ捜すなら、人数多い方がいいじゃないですか。ね、休戦ってことで」
彼らもカカシも、黙ったままだ。
でも、もし戦うことになったとき、暁と大蛇丸とで板挟みなんて無理だ。
味方に付けることは確実に不可能だが、この任務で彼らが敵になるのだけは避けたかった。
「お互いそうした方が楽じゃないですか?敵は少ない方がいいし」
「信用できない」
「じゃあ、こうしましょ。次、私たちと遭遇しても攻撃しないってことで。お互い目的があるんだし、少しだけでも協力し合わなきゃ」
そう言うと、イタチは何やら考えているようで黙ったままだった。
ややあって、イタチが口を開く。
「・・・いいだろう。オレたちにも用があるからな。その代わり、もし変な素振りを見せたりしたら・・・」
「わかってますよ。・・・いいですよね、カカシさん」
「ハァ・・・」
「はは。じゃあ私たちは、行かせてもらいますね」
カカシに目配せをし、歩き出す。
彼らの横を通りすぎたあとも、私は背を向けて歩いた。
ここで殺される可能性はゼロではなかったが、警戒する素振りを見せるよりはいいかと思った。
無事、外に出て、日差しに目を細めていると、カカシからの軽いお説教をもらった。
「自分勝手な行動はやめてって言ってなかったっけ?」
「・・・えー、どーだったかな・・・」
「オレが合図してもなかなか出てこなかったし」
「あ、あれは、合図がいきなりすぎて・・・まさかあの人たち相手にクナイを投げるとか思いもしなかったんですよ」
「アレは木ノ葉が始末しなければならない。お前だってそのことくらいは知ってるよね?」
自分の兄が犯罪者として扱われている事実。
何も知らないくせに―――。
そんな気持ちも出てくるが、何も言わなかった。
「ま、でも良かったじゃないですか。これで一安心って感じ?」
「安心なんてできないけど」
「切り替えましょーよ。あ、ほら、あそことか、いたりして」
私が指さしたのは向かいの山。
話を変えたくて指さしただけなのだが、スイレンが反応した。
『もしかしたら本当にいるかもしれないよ』
「え?」
『あの森の木はここら一体にしか生息しないみたい。ほら、あそこだけ木が違うでしょ?』
(・・・本当だ)
スイレンの言う通りだった。