第31章 残念ながら
しばらく歩いていると、ふいにカカシが立ち止った。
なんだろう、とカカシの背中を見ていると、彼が振り返る。
「・・・何か?」
先ほどカカシに言われたとおり、気配は消している。
「あそこ。見てみよう」
カカシの言葉に、彼の目線の先をたどる。
そこは、洞窟のような場所だった。
岩壁がむき出しになっており、入口だと思われる場所は暗闇がぽっかりと口をあけていた。
「不気味だあ」
「だからこそ、いるっていうこともあるかもね。行ってみよう」
「はい」
カカシのあとをついて行く。
そして、洞窟に足を踏み入れたが、どうやらハズレだったようでカカシは首を横にふった。
「・・・ここ、怪しかったんだけどなあ」
「ま、こういうこともあるよね。次行こうか」
「そーっすね」
洞窟の中央らしきところに座り込む。
あたりを見渡すと、どうやらこの洞窟は複雑なつくりになっているようで、奥の方やいたるところに通路があった。
きっとその先に部屋があるのだろう。
ただ万が一ということもあるので、二手に分かれて全部の部屋を確認することになった。
「じゃあ、オレこっち行くから。お前はあっちね」
「はい」
黒猫のスイレンを連れてカカシとは真反対の方向へ足を進める。
だが、すぐに行き止まりに出くわし、引き戻すことにした。
「こっちには何もなかったね」
『ということは、向こうだね。カカシが行った方向に何かあるんじゃないのかな』
「あー・・・―――ん?」
中央の広間に出るまであと数歩。
外から、私たち以外のチャクラを感じた。
二人だ。
スイレンは気づいているようで、広間を覗いた。
『えっ』
「どうしたの?」
『え、いやいや・・・』
スイレンがめずらしく驚いたような声を出すので、私もこっそりと広間を覗く。
すると、そこには信じられない光景があった。
(・・・あ、死んだわ)
誰か嘘だと言ってほしい。
この光景が幻だと言ってほしい。
「な、なんで・・・」
口からでたのは、その言葉だった。
他には何も考えられず、とりあえずわかっているのは「ヤバい」ということだった。
もしかしたら口が開いていたのかもしれない。
でも許してほしい。
私の目に映っているのは―――イタチとサソリの姿だった。