第3章 里と犠牲と守るもの。
「・・・・・・」
『起きとる?あ、これアカンやつやろ。びっくりして腰抜けてもうたか?』
「・・・いや、別にそういう訳じゃないけど・・・」
『・・・ホンマかいな。まあ、ええけど。あ、ウチな、主様から頼まれてん。でな、そんなわけでアンタのとこに来たっちゅーことや』
「・・・・・・・・」
『いやあ、アンタなかなかやるねえ。ホンマ見つけやすかったし、あの撫で方?っちゅーかな。ウチが知っとる中でも一番やわ』
「・・・・お、おお・・・・」
『あ、でな、その主様の頼みごとっちゅーのが・・・』
フクロウにマシンガントークされてる。
こんなの初体験なんですが。
『・・・って、聞いとる?ウチ、アンタに聞かんと帰れへんのんよ?』
「あ、うん。ごめん」
『・・・何や、ちょっと拍子抜けしたわ。もっと意地っ張りなんかと思っとったのに。まあ、いいわ。――――で、アンタ、もう大丈夫なん?』
「・・・・何のこと?」
質問の意図が全く分からなくて、小首を傾げると、『あー、もうちょっと詳しく言うとな、』と補足した。
『アンタの腹の傷のことや』
「・・・・っえ?」
『主様が直したんやけど、これまたその直した後、寝だしてなあ?起きたのはさっきやねん』
「・・・・・・・」
『はあー、もー・・・主様は人遣いが荒いっちゅうねん。全く、一人でぐーすか二年も寝とったくせに。そのくせ、さっき起きて心配だーとか言ってウチに行かすんやから』
(・・・・直した・・・?二年・・・?)
『ほいで?今、どーなん?まだ痛い?』
「い・・・いや・・・痛くない、けど・・・」
『あ、そーなん?なら、そのあと病院いったん?』
「え・・・いや、面倒臭くて行ってないけど・・・」
『はあ?アンタなあ、ちゃんと行けよ!』
「・・・・・・・・」
何でフクロウに説教されてるんだろ。
『ま、いいわ。ありがとな、助かったわ』
「い、いや・・・」
『じゃな。元気にしときやー。あ、腹出して寝るなよ』
「・・・・・・」
あっという間にフクロウは、どこかへ行ってしまった。