第3章 里と犠牲と守るもの。
一人、イタチの部屋へと足早に行く。
(・・・・・あれは、クーデターのこと・・・だよね)
やはり、一族滅亡は免れないということか。
そこで、ふと疑問に思う。
(・・・なら、私はイタチに殺されるのか)
それならそれで仕方ないと思う。
イタチもサスケを愛しているが故にこの選択をすることになるのだし、今更私が死んだところで何も起こらないだろう。
(あれだ、プラマイゼロってやつね)
でも、正直、何とも言えない気分だ。
そう思いながら、イタチの部屋のドアを開けた。
中はシンとしていて、誰もいなかった。
「・・・いない、の?」
どうやらイタチはまだ帰ってきてないようだった。
(・・・とは言っても・・・今、八時だしね)
子供には寝る時間でも、そうではない人たちにとってはまだまだ夜とは呼べない時間だ。
さっき言ったのは逃げるための口実だったので、実際特に何もすることがない。
とりあえず、ベッドによじ登り、窓を開けた。
いい感じに風が吹き、心地よい。
外の景色が見てみたくて、窓を覗くがよく見えなかったので、窓に腰かけて足を外に出してみた。
「・・・うひょー・・・気持ちいいー・・・」
気分がよくなり、私はついつい調子に乗って歌を歌い始めた。(とはいえ、夜なので口ずさむ程度に。)
「―――――・・・・ん?」
ふと、視界の延長線から、何かが近づいてくるのが見えた。