第3章 里と犠牲と守るもの。
あれから、二年。
私は六歳になった。
イタチは暗部の仕事で忙しそうで、あの時の約束は未だ果たされていない。
そして、一年前にはうちはシスイの葬式があった。
(・・・ということは、そろそろ・・・あの事件が起こるのかな)
うちは一族虐殺事件。
父も母も最近はよく「会合」というのに行っているし、イタチも最近表情が暗く、私のこともあまり構ってくれなくなった。
サスケは相変わらずで、私の手を引いては修行の成果を見せてくる。
「サスケ兄さん、すごい。かっこいいね!」
と、少し笑って言えば
「だろ?ハルもやってみるか?」
と、何かと教えてくれる。
けど、そのあと少しだけ寂しそうな顔をして
「・・・兄さんは俺のこと、全然相手にしてくれない・・・」
と言うのだった。
夜、ふと居間から声が聞こえて目が覚めた。
「・・・でも、あなた・・・」
「こうするしかないんだ。それがうちはの為だ」
ドアに耳をくっつけ、息を殺す。
「・・・だけど・・・まだサスケやハルは小さいんですよ?ハルなんてこの前あんなことがあったばかりなのに・・・」
「・・・これは、うちはの長としての決断だ」
そのとき、扉がキィ、と音を鳴らして開いた。
(・・・・・何でこのタイミング・・・!)
「・・・・ハル?起きてたの?」
「え・・・あの、トイレに、行きたくて・・・だけど、話してたから・・・入っちゃいけないと思って・・・」
「そ、そうなの?」
「あ、でも、もう寝るね。やっぱり今日は、イタチ兄さんのところで寝るね。おやすみなさい」
「え、ちょっ・・・・」
「・・・イタチはまだ帰ってきてないわよ・・・?」