第28章 途中
(・・・もし、関係ない話だったらどうしよう。今さらだけど・・・)
本当に今さらだ。
サスケのことを考えすぎて、何でもかんでもサスケに繋げ過ぎている。
(うわ、本当に違う気がしてきた・・・戻ろうかな)
心の中で葛藤をしていると、話し声が聞こえてきた。
「それは本当か」
「いや、あくまで噂程度のものだ。事実かどうかは保証できない。お前の弟が本当に大蛇丸のところへ行ったのかは分からないが・・・抜け忍になったことは確からしい」
「・・・そうか」
「近々、大蛇丸の捜索を始めようと思う。勝手に抜けたヤツは殺すというのがここのルールだからな。・・・ま、木ノ葉崩しとやらの時は、アイツがオレたちに気を使って九尾を殺さなかったみたいだから、そこら辺の判断はお前に任せる」
「・・・」
「大蛇丸の捜索はお前とサソリを組まそうと思う。いいか?」
「ああ」
「弟の件はどうする?ハルには・・・」
「言わないでくれ」
「わかった」
「ペイン」
「なんだ」
「・・・すまない。世話をかけた」
「構わない」
会話が終了したのか、足音がこちらに近づいてきた。
あたふたと慌てているとスイレンがいきなり霧状になった。
(!?)
あれだ。いつもスイレンが何かの姿に変わろうとするときの途中のヤツだ。
そして、そのまま私に覆いかぶさる。
必然的に、私は壁に背をつけていた。
(ちょっとスイレン!?真っ暗で何も見えないんだけど)
『緊急事態だから!こうすれば僕と壁が同化して見つからない・・・はず』
(“はず”って何よ。ていうか、思考読むなら読むって言ってよ)
『仕方ないじゃん・・・僕の声って人間ならハルにしか聞こえないんだよ。だから会話するにはこうするしかないし。まあ、僕はハルとこんなに密着できて嬉しいよ?』
(変態チックなこと言わないでよ)
そうしている間にも、一つの足音が目の前を通り過ぎていく。
(近い近い近い近い近い!)
ドッドッドッと自分の心臓の音が聞こえた。
盗み聞きがこんなに緊張するものだとは思っていなかった。
『もう通り過ぎたよ。大丈夫』
スイレンの言葉を聞いて小さくため息をつきながら、タイミングを見計らい、何事もなかったように居間に戻ったのだった。