第28章 途中
―――数日後。
あれから一度も木ノ葉へは行っていない。
どうなったかが気になるが、何も行動は起こしていない。
『ハル』
「・・・ん?」
『気になってるなら確かめに行けばいいんじゃない?』
「んー・・・」
スイレンに気を遣わせてしまったのだろうか。
「ありがとう」と返したが、その言葉にはいろんな意味が混じっていた。
私は、知るのを遠ざけている。
(怖いってわけじゃないけど・・・まだ心の準備ができてないとか・・・そういうの、かな)
ボーっとしていると、隣にいたイタチが私を案ずるように「どうした?」と話しかけてきた。
居間のソファに座っていた私だったが、みんなの視線が私に集まっていることに気付いた。
「・・・ん?」
「いや、お前が返事しねーから・・・」
「ちょっと考え事してただけだよ」
だから大丈夫。
そう答える前に、奥からイタチを呼ぶ声があった。
ふり返ると、そこにいたのはペインだった。
あいかわらず無表情な彼がイタチに用があるのは、めずらしい。
というか、いっしょにいるところを見たことがない。
まあ、二人で仲睦ましく話している姿は想像できないけれども。
「・・・なんだ?」
イタチも不思議に思ったのか、首をかしげながら立ち上がる。
「来い。話しておきたいことがある」
そう言った彼は、顎をくいと上げ、ついてくるように促した。
イタチが席を外した後、もしかしたらサスケのことかもしれないと思っていてもたってもいられなくなる。
「おい、トイレ行きたいなら行けば?うん。今、誰も使ってねーだろ」
「え?あ、うん」
デイダラの盛大な勘違いのおかげで口実ができた。
内心、ナイス!と思いながら、それに乗っかる形でトイレへ向かう。
スイレンをチラリと見ると、察してくれたのかついて来た。
他のみんなには怪しまれていないようだし、イタチたちも、まさか私が盗み聞きをしようとするとは思わないだろう。
幸い、ペインがイタチを連れて行ったのはトイレの方向だ。
気配を消して、二人を探す。
『こっちだよ』
スイレンの言葉に口パクでお礼を言う。
悪いことをしているような、そんな気分になりながらも、足を止めることはしなかった。
ゆっくりと歩いていくと、奥に二人の姿が見えた。