第28章 途中
「ナルトくん、キミは予想を裏切らないね」
「ッ・・・お前も!!絶対ェあとでぶっとばす!」
ナルトの目が「お前は何がしたいんだ」と言っている。
「お前も」と言われているあたり、君麻呂はもう「ぶっとばす」前提らしい。
「やだなあ・・・私、殴られちゃう?」
ナルトが歯を、ギリ、と鳴らした。
九尾のチャクラが少し感じられる。
感情の昂ぶりが目に見えて分かる。
「サスケはナルトくんに、『里抜けのことは言った』って言ってたけど・・・納得してないの?」
「確かにアイツは『犯罪者になる』って言ったけど・・・抜け忍は木ノ葉の敵なんだろ!?」
「そうだよ」
(止めなかったのか?どういうことなのかわからないけど、でも・・・ナルトは納得してなさそうだね)
(ナルトが勘違いしてそうだったから、一応大事になるように綱手に言ったのに・・・意味なかったみたいね)
「ま、とりあえず!コレはここに置いていくよ」
そう言って、サスケが入っている入れ物を指さす。
(サスケ兄さん、どうか無事で・・・)
「次会うときはいい話が聞けるといいな」
そう言ってその場を去る。
ナルトが私を指さして、何やら怒鳴っていた。
君麻呂は最後まで、じっと私を見ていた。
『もういいの?』
「うん」
ささやかながら、兄に幸運を願う。
「・・・死なないで。お願い」
その声は掠れていて、誰の耳にも届かなかった。
アジトに戻る前に変化をとき、ポーチから包帯を取りだし、巻きなおす。
「今頃、どうなってるかな」
その夜は、あまり眠ることができなかった。