第28章 途中
(いや、それはないな)
頭に浮かんだ考えを否定し、呪印を眺める。
私にまで呪印がつくことは、大蛇丸も予想外のことだっただろう。
つまり、私は“ついで”ということなのだと思う。
そんな結論に至ったところで、君麻呂が私に聞いてきた。
「・・・君は一体どういうつもりなんだ?」
「?」
「君は、その器を守ろうとしているわけではなさそうだ。かといって、僕らにも渡そうとしない」
そこまでで、君麻呂の言いたいことが分かった。
「私が、何をしたいのかが分からない、と?」
そう言うと君麻呂は頷いた。
チラリと後ろを見ると、スイレンが入れ物の上に乗って退屈そうにあくびをしているところだった。
バチリと目が合うと、慌ててキリッとした顔に戻った。
「あは・・・」
少し笑い、スイレンのもとへ行く。
「あくびはしてないよ!?」と慌てたように言うスイレンの頭を撫でる。
「君麻呂さん。私はただ・・・」
「なるようになってほしいだけなんです」
そして、その場にいる全員に聞こえるように言う。
「入れ物は持っていきます」
「!?」
「追うか追わないかは、あなた方の自由ですよ・・・―――スイレン!」
人型のスイレンを呼び、その場を去る。
スイレンは入れ物を抱えて私の横に並び、最後に見えた彼らの表情は驚きしかなかった。
「スイレン、落とさないで」
『うん。っていうか、キミ・・・ハルが“出てきてる”けど?』
「・・・気を付けるよ。とりあえず、少し離れる」
『・・・どっちに渡すの?』
「・・・先に追いついた方。後ろからついてくる気配はどっちかな」
地が出てしまったのか、スイレンに指摘されて、そう返すしかなかった。
そして、適当なところで足を止める。
「ありがとうスイレン。もう置いていいよ」
『・・・ん』
オオカミ姿に戻ったスイレンの頭を撫で、待つ。
しばらくして現れたのは―――君麻呂だった。
「やっぱり・・・あなたか」
「さあ、それを渡してください」
大方予想はしていた。
あとから彼も来るだろう。
シカマルに「お前は行け!」みたいなことを言われて。
そして彼は来た。
「おい!!サスケは渡さねーぞ!!」