第28章 途中
少し進んだ先に、いくつかの気配が止まっていた。
『三つ。それから反対方向からもう一つ近づいて来る』
「わかった」
状況から察するに、三つはナルトとシカマルと多由也。
近づいてくるのは君麻呂だろう。
いずれもサスケが入っているあの入れ物が目当てだ。
「スイレン、もう隠れなくてもいいから、とりあえず突撃しようか」
『ずいぶんとアバウトだね?まあいいや。じゃあ行くよ!』
睨み合っている三人の前に姿を現す。
すると、全員がこちらを向いて目を見開いていた。
木の上に着地し、スイレンから降りる。
(もう入れ物はナルトたちが持っているのか)
「・・・はあ!?おまっ、何してんだよ!!」
「ナルトくん、シカマルくん、久しぶり。元気だった?」
「おお・・・」
「おお、じゃねーだろナルト!おい、クロ!お前にはいろいろ聞きてえことがあんだ。逃げんなよ」
「えー・・・?あ、多由也ちゃん、初めまして」
「お前誰だよ!?つか、“ちゃん”呼びやめろ!気持ち悪ィ」
初めましてのあいさつを済ませたところで軽く笑っていると、多由也がちょうど私の斜め後ろ頭上を見て目を見開いた。
何か言った。
「何でお前がここに・・・君麻呂―――」
「ッ!?」
二人が反応する前に、―――彼は現れた。
そして、入れ物を奪う。
「・・・すまねーな・・・ナルト。オレの計算違いだったようだ」
シカマルが引きつった顔で言う。
サスケが入っている入れ物は彼の傍にあった。
「遅すぎるよ・・・多由也。それで、どうしたんです?元“五人衆”ともあろう者たちが」
(・・・これが君麻呂)
「お前、身体は・・・」
「今ならわかる。肉体と言う牢獄から抜け出した情報生命としての感覚・・・」
(さすが。なんか強そう)
「大蛇丸様の夢の一端に触れている感覚」
ナルトが「大蛇丸」という言葉を聞いて、目つきを変える。
そこに会話を打ち切るような声が入った。
「・・・健気ですね。見捨てられてもなお、その人のために動くだなんて」
「!?」
「私はマネできないや」
君麻呂が勢いよく私を振り返る。
私がいるのは入れ物の上。
「気付かなかったでしょ」
「お前・・・」
「お話、しましょうよ」