第28章 途中
『・・・意外だね』
「ん?」
『あの子たちのこと心配するのかと思ってたけど・・・そうじゃないんだ?』
スイレンの言葉に一瞬考えさせられる。
「あー・・・んー、そうだね」
その場でスイレンが止まる。
何かあったのかと思ったが、先でナルトたちが足止めを食らっているようだったので、遠すぎず近すぎないように、丁度いい距離を保っているのだと理解した。
つまり今は、時間を潰しているのだった。
「そうだね。んー・・・もしかしたら私は、サスケが大蛇丸の手に渡ることを望んでいるのかもしれないね」
『えっ』
「いや、もちろん大蛇丸はイヤだし、里も抜けてほしくないけど・・・もう呪印が、さ」
『んー・・・』
「・・・ま、なるべく原作沿いに進めたいっていうのが本心かな」
スイレンは『そっか』と言うと、動き出した。
『あまり、無理しないでね』
「ありがとう」
スイレンは最近、人間に近くなっている気がする。
前は自分のことを神様だと言っていたが、人間らしさが時々垣間見える。
人間離れしているのは、その力だけかもしれない。
「じゃ、気を取り直して追うよ!」
『落ちないでね、ハル』
動き出したが、ナルトたちの気配が一つ減った。
音との戦いが始まったのだろう。
(チョウジが残ったかな・・・でも・・・)
「そのまま追って。援護はしない」
『いいの?』
「うん」
(でも一応、分身を・・・)
『分身残すんでしょ?そんなこと言って心配なんだから』
「・・・なによ」
『キミはなんだかんだ言って、サスケ以外も大切なんだね』
スイレンが茶化すように言う。
それをスルーして分身を何体か出すと、一体を残して先に進む。
「チョウジくん、頑張れ」
誰に言うわけでもなく呟くと、先に進んだ。
そして、またしばらくすると、今度はネジが戦う番のようだ。
「ネジくん頑張れ」
また一人、分身を置いていく。
もういいかなと思い、わざと見えるところを通り過ぎる。
その瞬間ネジと目が合い、彼の目が見開かれる。
「バイバイ」と口パクで手を振ると、その場を去った。