第27章 「オレにとって」
「ああ」
ナルトは悩む素振りも見せずに、答えた。
たぶん、コイツは一生ウソはつけないタイプだろう。
サスケはそんなことを頭の片隅で思いつつ、真顔で言った。
「・・・お前は、本当にバカだな」
「は!?」
「ある意味誉めてる。普通、里抜けるっつったら、止めるだろ」
「お前を止めても、どうせ行くんだろ。お前はスガネジイリの頑固者だからな」
「バカ、それを言うなら“筋金入り”だ。先に言葉を覚えた方がいいんじゃないのか」
「ムカツク!!」
プンスカ怒っているナルトに「おい」と声を掛ける。
すると、「んだよ」という不機嫌な声が返ってきた。
「・・・嬉しかった」
呆気にとられているナルト。
そんなナルトを鼻で笑ったあと、サスケは少し真面目な顔で言った。
「そうだ。お前に一つ忠告しておく」
「・・・忠告?」
「ああ。お前は少し、周りを警戒した方がいい―――・・・この前も、お前をある男が探していたらしいからな。たぶん、お前を殺しに来たんじゃないのか」
「え・・・オレ、を?」
「お前、何かしたのか?」
ブンブンと首を横に振るナルト。
サスケが気だるげに頭をガシガシかいたあと、ため息をついて言った。
「死ぬなよ」
「あったりめーだ。オレは火影になるんだからな」
「フン・・・―――お前を殺すのはこのオレだ。忘れんなよ」
「ハッ、やってみろってばよ」
互いに挑戦的な笑みを浮かべたまま、二人は今度こそ、それぞれの帰路についた。
そして、ナルトが「木ノ葉の里のうちはサスケ」を見たのは、これが最後だった。
次の日。
「―――・・・久しぶり、サスケ」
「ク、ロ?」
私は十日ぶりに木ノ葉を訪れていた。
もっと細かく言えば、サスケの家だ。
「おっじゃま―――・・・あれ?」
「あ、おい!勝手に入んな!」
軽い気持ちで、サスケの家の中を覗いた。
(・・・もしかして、もうそんな時間?)
いや・・・軽い気持ちだ―――というのはうそだ。
本当は、確認に来たのだ。
「・・・サスケ」
「あ?」
「・・・里、抜けるの?」