第27章 「オレにとって」
それから二人は帰るまで一言も交わさなかった。
外はもう暗い。
「・・・じゃあな、サスケ。今日はサンキュ」
「・・・ああ」
ナルトがサスケに手をあげてサスケと別方向へと歩いていく。
サスケはしばらくその姿を見ていたが、ナルトの背中に声を掛けた。
「・・・なあ、ナルト」
「なんだよ」
声を掛けたサスケだったが、一向に口を開く様子はない。
「サスケ?」
いつもと違う様子のサスケに、ナルトは妙な不安を覚えた。
「・・・お前、今日なんか変だぞ?」
「ナルト」
「な、なんだよ」
「お前・・・オレのこと、どう思ってる?」
ナルトの口から「へ?」という言葉がこぼれおちた。
「おい・・・ちょっと、サスケさん?お前、マジで」
「いいからさっさと答えろ、このウスラトンカチ。つべこべ言ってんじゃねえ」
「はあ!?お前マジ意味わかんねー!!フン!お前なんか―――」
―――きらいだ。
そう言いかけて、やめた。
サスケが自分のことをまっすぐ見据えている。
ムキになってしまった自分を落ち着かせ、一つため息をついた。
「・・・確かに、お前ってばムカつくし、いっつもカッコつけてて、いいとこ持ってったりするし」
「・・・」
「サクラちゃんなんてずっとお前のことばっかだし、ちょーっと顔がいいからって女子にチヤホヤされてて、すっげー腹立つけど」
「おい」
「・・・でも、オレ」
「?」
「お前のこと、ライバルだと思ってる。お前にだけは負けたくないし、ずっと対等でいたい。それに・・・お前のこと、き・・・きらいってわけじゃねーし。大事な、親友・・・?って思ってる」
「・・・!」
最後はもごもごと言って聞こえづらかったが、サスケの耳にはきちんと届いたようで、ボーっとしているような表情でナルトを見ていた。
照れ隠しなのか、頬をポリポリと掻いているナルト。
少しだけ目を見開いているサスケに、ナルトが少し頬を赤くして「・・・なんだよ」と言う。
「フッ・・・お前ってやつは、本当に最後までウスラトンカチだな」
「なっ・・・!テメェ、人がせっかく―――」
「サンキュ」
「! ・・・お前、今日どうしたんだってばよ」
サスケが口にした“最後”という言葉に少し引っかかったが、言い返したときにはもう忘れていた。