第27章 「オレにとって」
―――二人と別れたサスケがベンチに座っていると、目の前に男が現れた。
「 ・・・何の用だ、カカシ」
「つれないねー、せっかくオレが会いに来てやったっていうのに」
カカシはいつも通りの笑みを浮かべてサスケを見ている。
それが不快で、サスケは「何の用だ」ともう一度聞く。
ジロジロ見られるのは好きじゃない。
「最近、クロと会ってる?」
「は?・・・いや」
「そう・・・じゃあ仕方ないな。ほか当たってみるか」
そう言ってカカシはどこかへ行こうとする。
「・・・クロが何なんだよ」
「いーや、別に」
「アイツが何かやらかしたのか?」
「んー、そういうわけじゃないんだけどね・・・」
カカシは誤魔化すつもりなのか、曖昧な答えしか口にしない。
サスケがイライラし始めたころ、カカシがややためらいながらも話始めた。
「あのさ・・・お前、クロのことどれくらい知ってる?」
「・・・は?」
「クロが・・・何者か知ってるかって聞いてんの」
カカシはいつもの口調で、しかしその質問は少し真剣さを含んでいて、口調とは釣り合わない。
―――なんだ。コイツ、これが聞きたかったのかよ。
サスケは察したようで、カカシに聞く。
「・・・なんだ?クロが里にとって危険だ、とかか?」
クロのことは自分も知らない。
自分だけが知っているクロのことというのは、おそらく無い。
そして、それはナルトやサクラも例外ではない。
「まだ決まったわけじゃないけどね」
「は?どういうことだよ、それ。つーか、何でオレ・・・」
「サスケが一番知ってそうだったから?」
「は?」
「クロが特にお前のこと気に入ってるようだからさ。何か知ってるかなって思ったんだけど・・・」
「・・・」
「もしかして、自覚なかった?」
―――は?知らねーよ、そんなの。
そう言おうとしたけど、何となく言う気にはならなかった。
―――オレは、クロの特別になれているのか。
自分のことを“恋愛感情抜きで好き”と言ってくれたクロ。
悪くない気分だった。
「さあな。オレもアイツのことはあまり知らねーんだ」
「・・・そ。ならいいや」
気が済んだのか、カカシは背を向け歩いていく。
その後ろ姿を見送ったあと、サスケもその場を去った。