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うちはに転生しました。

第26章 つじつま合わせ





―――空いていた片方の手に、粒子のような小さな粒が集まって、刀の柄のような形に形成されていく。

その場にいた全員が目を見開き驚く。

もちろん、それは私も例外ではない。

だが、その間にも形成されゆく“何か”は着々と、形になり始めていた。


『できた!!』


そう言って嬉しそうな表情で私を見るスイレン。

空いていたほうの手には、「首切り包丁」に瓜二つの太刀。

つまり―――。


「スイレン、それ・・・作ったの?」

『うん!すごいでしょ!キミが「スイレンに不可能はない」って言ってくれたから、頑張っちゃった』

「え・・・」


にこにこと上機嫌に笑うスイレン。

そして、作った「首切り包丁」を地面に刺すと、本物を再不斬に向かって投げた。

スイレンはオオカミ姿に戻ると、何事もなかったように私の傍に来た。


「まさかホントにできるなんて・・・さすがね、スイレン」


スイレンの頭を何度か撫でたあと、地面に刺さっている太刀を抜く。


「―――うん、すごい。本物と何ら変わらないし・・・よっし、用は終わったから撤収しようか、スイレン」

『うん』

「え?か、帰るんですか?」

「ええ。あ、お邪魔しました、白さん。再不斬とどうぞお幸せに」


そう言って笑えば、白は明らかに戸惑っているような表情を見せた。


「鬼鮫さんはどうします?」

「あなたは、どうするんですか?」

「私は・・・んー・・・まだやることがあるので・・・とりあえず、場所は変えますかね」

「そうですか。なら、私はアジトへ帰るとしますかね」


「それでは」と言い、スイレンの背中に乗ると、その場を去る。


(あとはネネに、頼んで動いてもらおうかな)



















―――それから数日後。

とある町ではある噂で持ちきりとなっていた。


「おい、聞いたか?『霧隠れの鬼人』?アイツ、死んだらしいじゃん」

「マジで!?いや、でも安心だな。あんなヤツがいたらオレら殺されるって!」

「まあな!」

「つーか、その話、誰から聞いたんだよ?」

「店で女の子が話してんの聞いたんだよ。“遺体を見たって”。灰色の髪で、すっげー美人だったなあ―――」




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