第2章 子供時代と一つの事件。
「お、前・・・」
「・・・・え、と・・・」
何日ぶりだろう。
妹の黒い、大きな瞳を見るのは。
「・・・・っ・・・・」
ゆっくりと、足を進めていく。
「・・・イタチ兄さん?」
頬に手を伸ばして、夢じゃないのを実感する。
思わず、抱きしめた。
痛くないように、ギュッと。
「・・・イタチ兄さん、どうしたの・・・?」
「良かった・・・・本当に、良かった・・・・!!」
心の底から、そう思った。
「・・・・イタチっ」
「・・・母さん」
「ハルが目ぇ覚めたって」
「うん」
母はハルと目が合うと、ポロリと涙を一粒こぼし、そのあと、ハルの傍まで行き、手を握った。
「母、さん」
「・・・ハルっ・・・おかえり・・・!」
「・・・うん・・・・ただいま」
それを見届けると、イタチは誰にも見られないようにこっそり涙をぬぐった。