第26章 つじつま合わせ
お昼も過ぎ、イタチが仮眠をすると言って部屋に戻ったあと、しばらくしてスイレンが戻って来た。
『ハルー!!』
「ぐへぇっ・・・ス、スイレン?ずいぶんと長い出張だったのね。お疲れさま。でも、手ェどけてくれるかな。苦しいんだけど」
『あっ、ごめんごめん!ハア・・・ホント疲れたあ』
「一日もいないなんて・・・初めてだったから、ちょっと寂しかったのよ?スイレンがいてくれなきゃ人探しもできない―――」
『ごめんね!!もう絶対離れないから!!』
「いや・・・そこまでとは言ってないけど」
人型のスイレンに抱きしめられ、若干苦しいが抵抗はしない。
一通り満足したのか、スイレンはオオカミ姿に戻って事情を話し始めた。
『今回ネネたちのところに行ったのは、大蛇丸の実験体たちを故郷に帰らせたんだ』
「へえ」
『実験体といっても捕まってただけだから、身体的な変化はないから大丈夫。そう思って故郷へ帰したんだけど・・・』
スイレンはバツが悪そうにその先を言わない。
「・・・何よ?」
『いや・・・よかったのかなって。僕、キミに何の相談もなしに動いたから』
「え、何かいけないの?私はスイレンの行動にとやかく言うつもりはないし、制限してるつもりもないんだけど・・・」
もしかしたら、どこかでスイレンを縛っていたのかもしれない。
不安が頭の中を埋め尽くしていったが、次の瞬間、それは杞憂に変わった。
『うん、知ってる!!キミはそんなことしないもんね!!』
「っえ?な、なに・・・?」
『キミは自由が好きだもんね!縛られるのもきらいだし、縛るのもきらいなんでしょ?』
「え?いや、あまり考えたことないから・・・」
スイレンのマシンガントークが止まらない。
なんだか、ネネと初めて会ったときのことを思い出す。
「・・・アンタ、ネネに似た?」
『え!?・・・それはあまり嬉しくないなあ』
スイレンの耳が垂れたところを撫でていると、鬼鮫の声がした。
「ハルさん、私は明日暇ですよ」
「え?」
「ほら、さっき言おうとしてたじゃないですか」
もしかして、朝食のときに私が言いかけたことだろうか。
顔色を伺ってみるが、別に気を使って言ってくれているわけでもないらしい。
(本当に暇そうだな、この人)