第26章 つじつま合わせ
「ありがと」
お礼を言うとサソリは「早くしろ。腕が疲れる」と答えた。
「傀儡なんだから、疲れないでしょ」
そう言うとサソリは何かがおかしかったのかククッと笑った。
「―――おい、起きろ」
その言葉とともに、おでこをつつかれて、重たい瞼を開けた。
(ああ、そういえば私・・・ご飯食べて・・・風呂入って・・・そのままソファで寝たんだっけ―――)
「んー・・・ま、だ・・・」
むにゃむにゃと言いながら、おでこの手を払う。
すると、ふいに体を浮遊感が包みんだ。
と思えば、すぐに抱っこされたような感覚があって背中に手がまわされる。
「イタチ兄さん・・・?」
まだ目も開けていないのに、何となく言った。
こうして抱いてくれるのは、イタチだけだから。
「ああ、オレだ」
しばらくして目をあけると、目の前には鬼鮫の顔があった。
「・・・」
「昨日はずいぶんと乱れた生活をしたようですね。まったく・・・デイダラ、もう朝ですよ」
「あ・・・?なんだ、鬼鮫じゃねーか・・・」
「起きろ」
「ぐへッ・・・!!おい、旦那!!蹴るこたァねーだろ!」
―――私もデイダラもサソリもばっちり目が覚めたところで、朝食がまだだというイタチと鬼鮫に昨日作った夕食の残りを出すと、二人には好評で私も嬉しくなった。
「しかし、ハルさんが料理できるとは・・・これならお嫁に行っても大丈夫ですね」
「フフ、それまで生きていたら、ですけど。・・・イタチ兄さん、そんな深刻な顔しなくても、まだ行かないから大丈夫だよ」
「・・・ああ」
鬼鮫の冗談を真顔で受け止めたイタチにフォローを入れる。
「それに、イタチ兄さんよりかっこいい男の人なんていないんだから!」
そう言うとイタチは「ありがとな」とどこか嬉しそうな表情を浮かべ、頭を撫でた。
「おい、イタチがデレデレしてんぞ。誰か写真撮れ」
「旦那ァ!オイラ、カメラ持ってなかったぜ・・・うん!」
「チッ、使えねーなあ、お前」
「まあまあ、微笑ましい光景じゃないですか。私もいつかは言われてみたいものですねえ」
「あ、鬼鮫さん。明日、暇ですか?」
「え・・・」
「あ、いえ、疲れてるならいいです。別に大した用じゃないんで」