第25章 敵として
そう、迎え“撃った”。
その言葉通り、私は、サスケを蹴り飛ばしていた。
「ガッ・・・!」
「その術・・・すごいけど、当たらなきゃ意味ないよね」
サスケはゴホゴホと咳き込みながら、体を起こそうとする。
―――が、私がサスケをうつ伏せにし、背中に馬乗りになったので、サスケは身動きがとれなくなった。
「私の勝ち。スイレンがいないから、私が弱いと思ったの?」
「クソッ・・・離せ!」
「いいよ」
パッとサスケの背中からおりる。
サスケはあっさりどかれるとは思っていなかったのか、意外な目で私を見た。
「・・・お前、何考えてんだよ」
「別に、何も。敢えて言うならサスケと話がしたいなって考えてる」
「何だよ、それ・・・意味わかんねえ・・・」
そう言うと、サスケはそのまま仰向けに寝転がった。
「落ち着いた?“八つ当たりくん”」
「うるせ・・・」
「私を殺そうとするなんてひどいわあ」
「・・・」
「っていうのは冗談で・・・怒りに任せて戦おうとしたでしょ?雑すぎ。正直、さっきの千鳥は誰でもよけれるよ」
サスケの傍に行き、その隣に座る。
「なにもしないよ」とおどけた調子で言うと、サスケは私から目線を外した。
「・・・何を、そんなに焦ってるの?」
「・・・焦ってねーよ」
「へえ。そう?」
サスケはそう言ったが、「チッ」と舌打ちをして「分かってるなら聞くな」と言った。
「分からないよ・・全部はね」
「・・・べつに」
「『べつに』? じゃあ何でそんな顔してるの」
「・・・どんな顔してる?」
「なんか、思いつめた顔」
サスケは大きくため息をついて目を閉じた。
そして、しばらく黙っていたが、やがてポツリポツリと話し始めた。
「オレはあいつを殺さなきゃなんねえ・・・」
「あいつって・・・“うちはイタチ”?」
「ああ。あいつは強い。だから、あいつ以上に強くなって殺す・・・なのに」
「なのに?」
「・・・今のオレはナルトより弱い。お前は見ていないかもしれないが、アイツは中忍試験のとき、バカでかいカエルを口寄せしたんだ」
見ていないが、それは知っている。