第25章 敵として
「悪いけど、知らない」
もう一度、そう言うとサスケは踵を返して、歩いて行った。
無意識に少し棘を含んでいたその言葉に、自来也は何やら考えこんでいたようだったが、私はそれに気づくことなく、サスケのあとを追うことにした。
だが、サスケの歩くペースが速いのか、なかなか見つからず、やっと追いついたのは、景色が森のようなところになってからだった。
「待ってよ、サスケ!私も途中までいっしょに帰る!」
「・・・今は、お前にかまってる気分じゃない」
「気分じゃないって・・・私だって、サスケに『かまって』って言ってるつもりはないけど」
「あ?・・・お前、今日はやけにつかかってくるな?」
「サスケ、八つ当たりって言葉知ってる?」
「チッ・・・いい加減にしろ。オレは今、気分が悪い」
「・・・だから、何?」
そう言うと、サスケは私の方に体を向けた。
その目には明らかな苛立ちとかすかな殺気が込められていた。
「おいお前・・・オレとやりあうつもりか?」
「いいよ?・・・サスケがそのつもりなら」
「軽い運動くらいにはなりそう」と挑発を込めて笑うと、サスケはちゃんとそれを受け取ったようで私を睨みつけた。
(あーあ・・・まさか、一日で兄二人と戦う羽目になるとは思ってなかったわ)
「いいよ、写輪眼出しても。そのくらいのハンデがなきゃ、かわいそうだしね」
「お前・・・!!あんまり舐めてっと、殺すぞ・・・!!」
「どうぞお好きに。でも・・・できるものなら、やってみな―――ってね」
そう言った直後、サスケは目を赤く染めて、私に飛び掛かって来た。
「ほら、グーパンチの一つでも当ててみたらー?」
「こ、のッ・・・!」
サスケの攻撃をすべてかわし、ケラケラと笑いながら言うと、サスケは本格的に怒ったのか何かの印を結んだ。
そして―――。
「千鳥・・・!」
手に青白い光を纏って、サスケがこちらに突進してくる。
マジか、とか、ちょっと怒らせすぎたかな、とか思ったが、すべて自分がまいた種だ。
仕方ないと腹を括り、突進してくるサスケを迎え撃った。