第25章 敵として
「ん?そこに倒れているのはクロ・・・か?」
自来也はイタチの足元に倒れている私を見つけると、厳しい顔になった。
「自来也、さま・・・私は平気です。ナルトくんも、無事なはず」
「そうか」
自来也はそう答えたが、イタチと鬼鮫はその言葉に違和感を覚えたようで、眉を寄せた。
その違和感の正体が分かったのは、私が、にせナルトの分身を消してからだった。
「! ・・・そういうことでしたか。なるほど・・・私たちはこの子に一杯食わされていた、ということですね」
「・・・囮か」
イタチは私を見おろして言った。
「その年齢で・・・大したものだ」
「ええ。それには私も同感です」
私は何も返せず、荒い呼吸を繰り返すだけだった。
「三忍のあなたがいては分が悪い・・・。鬼鮫、ここは退くぞ!」
イタチは自来也を見るとそう言った。
「はいそうですかと逃がす訳にはいかんのう・・・お前たちはワシがここで始末する―――口寄せ・蝦蟇口縛り!」
自来也が印を結ぶと、足元が変わった。
「!?」
私は驚いたものの、体を動かす力も残っておらず、そのまま倒れていた。
「ここは妙木山岩宿の大蝦蟇の食道の部分だけを口寄せした。つまり蛙の腹の中だ・・・」
イタチと鬼鮫はその場から去る。
そのあとを自来也が追う。
その場に残された私は、やっとのことで体を起こし始めていた。