第25章 敵として
「・・・でもね、こっちもホイホイ捕まるわけにはいかないんですよ」
気持ちを落ち着かせ、自分に言い聞かせるように言う。
ニヤリと笑みを浮かべながら、挑発的な態度で振る舞う。
「わかりました。では、仕方ありませんね・・・こちらとしてもあまり子どもを手に掛けたくはないのですがねえ」
「・・・そうですか」
その言葉が最後、鬼鮫は私に攻撃を仕掛けてきた。
(やばッ・・・!!)
寸前のところで鬼鮫の攻撃をかわす。
鬼鮫の攻撃は、布が巻きつけられてあるものの、鮫肌を私に当てようとしてくる。
これを食らったら、どこかの骨が折れるんじゃないだろうか。
「ちょこまかと・・・すばしっこいですね」
鬼鮫にはそう言われたが、私はこれでも必死だ。
そして、地面に着地した一瞬でもう一人分身を出す。
「・・・分身ですか」
分身と入れ違いで、にせナルトに近づく。
が、無理だということは分かっていた。
相手はあの「うちはイタチ」だ。
簡単に近づけるわけないと分かっていて―――それも見込んだ上で近づいた。
(一度攻撃を受けて、しばらく時間を稼ぎたい)
そして、私の予想通り―――。
「ッ、かはッ―――!!」
体を物凄い衝撃が襲い、背中を強く打ち付け、一瞬息ができなくなる。
私は、イタチに首を掴まれ、壁に叩きつけられたのだった。
耳元でコンクリートの欠片がパラパラと落ちる音がする。
「ぐっ・・・!!」
そして、そのまま首を締め上げられる。
(息が・・・―――!!)
無意識に、首にある手を引きはがそうとする。
だが、酸素不足なのか力がうまく入らず、イタチの手はびくともしない。
「クロ!!」
ナルトに変化した分身が叫ぶ。
生理的な涙が目尻に浮かび、そろそろ本格的にマズい、と思い始めたとき―――。
パッといきなりイタチが手を離した。
「ッは―――」
手を離されたことで地面にずるずると倒れこむ。
そして、急に肺に入ってきた酸素に、激しく咳き込んでいると、一つの気配がこちらに近づいて来ていることが分かった。
(あ、ぶな・・・かった。今のはマジでヤバかったかも。それにしても、誰・・・?)
「お前ら、何しとるんじゃ?子ども相手に二人掛かりとは・・・お前らもおもしろいことをするのう」