第24章 中忍試験 3
―――数時間後。
突然ドカン!という衝撃音とともに、何かが地を揺らした。
私はそれに驚くこともなく立ち上がると、遠くを見やった。
「・・・始まった」
ここからでも確認することができるほど巨大なヘビ。
それと同時に、会場の屋根が破られ、二つの影が飛び出した。
そのあとを追うように、数名の暗部が飛び出す。
『あれは・・・?』
「三代目と大蛇丸。・・・あーあ・・・また、人がたくさん死ぬのね」
無表情でそう呟く。
そうして、私は三代目と大蛇丸がいる結界の前まで移動した。
「!? おい、下がれ!」
暗部が私にそう怒鳴る。
あとから来たスイレンがそれに威嚇したらしいが、私はそれに振り返ることなく、ただ、その戦いを見ていた。
「・・・三代目様」
私が祈るようにそう呟いた瞬間、三代目と目が合った。
三代目は驚いたような表情をしたが、そのあと―――穏やかな表情で笑った。
その場には似合わないソレは、私の心をグラリと揺らした。
「っ・・・」
思わず、顔が歪んだのが分かった。
あいかわらず、涙は出ない。
それでも、心がズキズキと痛んだ。
三代目はそんな私を見たあと、すぐに大蛇丸に向き直った。
激しい戦いが繰り広げられているのを目に映しながら、私は静かにスイレンに問いかけた。
「ねえ、スイレン・・・」
『なに?』
「この結界・・・通り抜けられる?」
あまりにも無謀な質問だと、自分でも分かっていた。
さっき、結界に当たって炎に包まれた暗部を見たばかりだ。
でも、三代目が倒れるとき、その体を抱き止めたいと思ったのだ。
そんな私の思いを汲んでくれたのか、スイレンは少し考え込んだあと、頷いた。
『うん。いけるよ』
「・・・ありがと」
深呼吸を一つし、ゆっくりと手を結界へと伸ばす。
「おい!?」
暗部の制止の声が聞こえた。
だが、それもすべて無視する。
―――指先が、結界へと触れた。
痛みもなく、燃えるような熱さもなく、ただ、すり抜けている。
「よし・・・」
一旦、手を引っ込める。
そして、その時を待つ―――。