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うちはに転生しました。

第24章 中忍試験 3














―――そして、いよいよ本選開始当日。


私はいつもより遅めにアジトを出た。

木ノ葉の里に着いても、誰にも会う気になれず、ただ集まっている観客をボーっと見つめていた。


『・・・どうしたの?今日は元気ないね』

「・・・うん。ちょっと・・・気が乗らなくて」

『・・・じゃあ今日はやめとく?』

「ううん、そういうわけにはいかないの。ごめん、スイレン。シャキッとしなきゃね」


そう言ったものの、自分でも暗い声色だというのが分かる。


(今日は・・・三代目が死んでしまう日・・・)


大切な人が、一人死んでしまう。

じゃあ、自分はどうする?


「・・・私・・・最低ね・・・」

『?』

「三代目を・・・見殺しにしちゃうなんて・・・」


(でも、ここで死んでもらわなければ、次に繋がらない)


これから先、こんなことをたくさん経験することになることは分かっている。

それでも―――胸をきつく締め付けるようなこの思い。

「見殺しにしてしまう」という罪悪感か・・・それとも、今の私の「悲しい」という感情なのか。


(こんな・・・こんな思いを・・・あと何回するの・・・?)


「キッツ・・・」


―――・・・とても耐えられそうにない。















しばらくボーッとしていると、後ろから人の気配を感じた。

ゆっくりと振り返る。


「まだ会場へは行かんのか?」

「・・・三代目様・・・」


いつもと変わらない表情でこちらに近づいてくる。

そして、私の隣まで来ると空を見上げた。


「今日は、いい天気じゃのう」

「・・・はい。いい天気で・・・とても見てられません」


正直な言葉だった。

雲一つないこの空が、逆にうっとうしかった。

皮肉に思えて―――。


「申し訳・・・ありません・・・三代目様・・・」


考えるよりも先に、その言葉が出ていた。

握りしめた手が温度を失ったように冷たく感じた。

絞り出すようにして出た声は、思っていたより震えていた。


「三代目様・・・これから・・・三代目様は・・・大蛇丸と戦うのでしょう・・・?」

「・・・ああ」

「・・・やめてと言っても・・・聞いてはくれませんよね」

「・・・そうじゃな」


三代目はまるで私の言いたいことが分かっているかのように頷いた。



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