第24章 中忍試験　３

私がそう答えると、スイレンはホッとしたように頷いていた。


（目的ってのは、実は自来也と顔見知りになることなんだよね・・・あとあと都合がよくなるかもしれないし）


「それで？ナルトくんは口寄せ頑張ってるの？」

「おう！あ、オレってば水の上歩けるようになったんだぜ！」

「へえ！すごいじゃん」


そう言えば、ナルトは自慢げに鼻の下をこすりながら笑ってみせた。


「だろ？お前もやってみろよ！」

「え・・・いや、私は・・・」

「いいから！オレが教えてやるってばよ！」


得意げに言って私の手を引っ張って、水の上へと連れて行こうとするナルト。

そして、ついに、水の上へ乗った時―――。


「・・・あれ？」

「・・・なんかごめんね」


沈まない私を見て、ナルトはわけが分からないような声を出した。


「おっ。お前、なかなかやるのぅ」

「どうも・・・それより、自来也さま。いい加減、のぞきはやめたほうが・・・」

「なーにを言っておる！これは取材じゃ！っと・・・お前、ワシのこと知ってんのか？」


のぞきを一向に止める気配のない自来也に声をかけると、自来也は自分の名前を知っていることに疑問を覚えたのか、私の方を振り返った。

すると、すかさずスイレンがそこに行き、自来也がさっきまでしていたように中を覗いている。


「スイレンのスケベ」


そう言えば、ハッとしたようにわたわたとし始めた。

ナルトは「オレ、あんなに苦労したのに・・・」とうなだれている。


「三代目様から聞いたので」


（ウソだけど）


「その正体はただの変態エロ爺！」

「こぉらナルト！お前、もう教えてやらんぞ！」


なんだかんだ言って、こっちはうまくやってるみたいだ。

・・・ちょっと羨ましいかも。


（私にも師匠と呼べる人がいたらどんな感じなんだろう？）


少し考えてみたけど、まったく想像がつかなかった。

でもいいや。それでも、私は一人で強くなるから。


「自来也さま、クロと言います。お見知りおきを」


ニコリと笑って言えば、


「そうじゃの。よろしくな」


と手を差し出された。

一瞬驚いたが、手を重ねる。


「あー！エロ仙人ってば、クロから離れろ！」


途中でナルトが間に入って、手を離す。

自来也の手は、なんだか父を思い出させた。