第24章 中忍試験 3
「違う」
「え?」
「私は、左手が見たいんだ」
「・・・」
そこで察した。
「・・・何も、遠回しなことをしなくても言えばいいじゃないですか」
「なーんだ、感鋭いね、クロ」
そう言ってカカシはポケットに手をつっこみ、笑った。
「・・・サスケが?」
「まあね。アイツが“やられたのはオレだけじゃない。クロもだ”って言うもんだから、つい聞いちゃった」
「・・・」
話しながら、左手の包帯を外す。
そして、アンコに差し出した。
「・・・封印してあるわね。身近に封印術を扱える人でも?」
「まあ、そんなところですかね・・・」
そう言うと、アンコは「ありがと。もういいわ」と言った。
そして、私は三代目に言った。
「私をここに連れてきたのは、これを見るためですか?」
「すまんな」
「いえ」
包帯を巻き直しながら、私は手元を見つめた。
「サスケに口止めはしてませんでしたし。さっきも言った通り、隠してはいませんでした。それで・・・聞きたいことがあるんですよね?」
「驚いた・・・あなた、えらく頭の回転がいいのね」
「まあ、“結構な歳”ですし・・・申し訳ないんですけど、私、大蛇丸のことは何も分かりません」
そう言うと、アンコは残念そうに「そう・・・」と言った。
「クロ、わざわざ手間をかけて悪かった・・・本選までしばらく時間がある。それまで、自由にするとよい」
「ありがとうございます、三代目様。それでは・・・私は失礼させてもらいます。スイレン、いい加減食べ終わってよ。行くよ?」
三代目の視線は私の包帯にあった。
『待って、最後の一個!』とスイレンが慌ただしく、饅頭を口に詰めた。
「三代目様。私、こう見えて結構体強いんで、平気です」
そう言って少しだけ笑えば、三代目は困ったように笑った。
部屋を出ると、カカシも一緒に出てきた。
「・・・?」
「送るよ。あ、ついでに、このあと少し付き合ってくんない?」
カカシはゆっくりとした動作で私の顔を覗きこみながら言った。
スイレンがキッとした目で私とカカシの間に立つ。
『ちょっと。あんたロリコンなの?』
「・・・スイレンったら」
カカシは一瞬固まったが、困った表情で笑った。