第23章 休息と隠し事
イタチの部屋に向かうと、ベッドに一人、ハルが寝ていた。
「オイラ、初めてイタチの部屋入るな・・・うん」
「デイダラちゃんは興奮してんのか?」
「してねえよ!」
「おい、静かにしろ」
イタチがベッドに腰掛け、ハルの頭を撫でる。
ハルは起きない。
「で、呪印とやらは?」
「・・・これだ」
イタチがハルの手を掛け布団から出す。
封印されて間もないソレは、どこか痛々しく見えた。
ペインはしばらくの間じっと見ていたが、イタチに「もういい」と言った。
「・・・で、これを角都が封印した、と?」
「ああ」
「では、それとトイレのドアを壊したのはどう関係があるんだ?」
ペインの目がサソリに向けられる。
「・・・ソイツが、ソレを隠そうとして逃げたんだよ」
「その先がトイレだった、と」
「そうだ」
ペインはしばらく考え込んだあと、サソリに言った。
「とりあえず、お前はトイレを直せ。今すぐに」
「えー・・・」
「当たり前だ。異論は認めん」
ブツブツと言いつつ、サソリが部屋を出ていく。
デイダラがそれについて行った。
「・・・イタチ、災難だったな」
「・・・いや」
ペインはそれだけ言うと、イタチの肩に手を置き去って行った。
小南もそれに続く。
しん・・・と静まる部屋で、口を開いたのは鬼鮫だった。
「みなさん、私から提案があるのですが」
「?」
「もし、よろしければ、みなさんの任務で外出の際に、同時進行でハルさんに呪印をつけた人間を捜すというのはどうでしょう」
「もちろん、無理にとは言いません。ただ、小さな子どもにこんなのをつける悪趣味な人間はどうなのかということですよ」
「・・・“私としても弱いものいじめは好きじゃないんでねえ”」
その言葉はいつか、鬼鮫が初めてハルを見たとき―――。
幼いハルを逆恨みし、拐ったあげく暴行を加えたあの男に、イタチが怒りで震えたとき、鬼鮫が言った言葉だった。
「鬼鮫・・・お前」
「またあの男でしょうかねえ。ちゃんと殺したつもりだったんですが」
鬼鮫がニィと口角を上げる。
と、同時に、ハルの目が薄く開く。
「ん・・・あ・・・?」
「あ、起きた」