第23章 休息と隠し事
イタチが居間に戻ると、テーブルや椅子は元通りに戻してあった。
寝ているハルを除き、他の全員が席についていたので、イタチも席についた。
重々しい空気のなか、沈黙を破ったのはイタチだった。
「―――・・・それで角都。あの封印はどういったものなんだ?」
「封邪法印のことか?」
「ふう・・・?なんだソレ。オイラ、聞いたこともねーぞ、うん」
「・・・オレも実際に行ったのは初めてだ。前に、ちょっと見たことがあってな」
角都は“封邪法印”の仕組みを話し出す。
「恐らく・・・あれは“天の呪印”と呼ばれるものだろう」
「天の呪印・・・?」
「ああ。オレが行った“封邪法印”とは、対象者の意志の力を礎にしているため、完全に呪印を抑え込めるわけではなく・・・封邪法印を施されても呪印の持ち主が望めば呪印の力は解放されてしまう―――というものだ」
長い説明にデイダラが「・・・は?」と呟く。
それを見て、角都が大きなため息をつきながら言った。
「つまり・・・アイツ自身が力を望めば、呪印の力は解放されてしまう。“封邪法印”の逆を行う“解邪法印”で封印を解くことができるが・・・」
「それより問題なのは、ハルさんが、どこの誰にアレをつけられたか・・・ということですね」
「みなさんもそう思いませんか?」と鬼鮫が言った。
「・・・確かに、呪印をつけたヤツを殺せば術が解ける可能性は高い。だが・・・おい、イタチ。アイツの放浪癖をなんとかしたほうがいいぞ。そのうち死ぬ」
「・・・少し考えものだな」
「ああ。そうしろ」
「じゃあ、なんでハルはあんなに必死こいて隠そうとしたんだ?」
「・・・アイツは、そういうヤツなんだ」
イタチが目を伏せて呟く。
今まで幾度となく自分を犠牲にしようとする妹が怖いと思った。
“そのうち死ぬ”
角都がそう言ったが、それを否定できない自分がいた。
もしかしたら、自分が知らないだけで、他にも危険な目にあってるんじゃ・・・。
イタチの頭は不安でいっぱいになっていた。
「ま、ガラスを素手で拾おうとするヤツだ。普通じゃねーことは確かだろ」
サソリが椅子の背もたれに腰を預け、言った。
―――ちょうどその時、入り口から二つの声がした。
「あら・・・」
「めずらしい光景だな」