第23章 休息と隠し事
「あ、おい!」
向かった先はトイレ。
今思えば、外に逃げ出す方が得策だったかもしれない。
だが、そのときの私は必死だった。
(こんな必死に隠そうとして・・・もう絶対バレてる・・・!)
鍵をかけ、その場にうずくまる。
(いくらなんでも、バレるの早すぎ・・・)
ドンドン!と誰かが扉を叩く。
聞こえてきた声はイタチとスイレンのものだった。
「おい、ハル!」
『ハル!?大丈夫!?』
少しすると、あとから来たらしい残りのメンバーの声がした。
「どうなってる?」と角都の声。
「トイレに閉じこもっている」とイタチが説明すると、少しの間、沈黙がその場を包んだ。
(ちょっと、もう・・・こりゃアウトだ・・・)
ふいに、
「じゃ、壊すぞ」
と言う声がした。
(・・・・・・・え?)
「おいおい、本気か?サソリぃ。クソリーダーに何か言われても知らねえぞ?」
「ハッ、知るか。大体、オレの傀儡でやった方が一番楽だっつーの」
「クソリーダーだけじゃなく、小南姉さんに怒られるかもな」
最後に飛段の声がしたと思うと、トイレの前から一人を除いて複数の気配が離れる。
・・・どうやら、本気らしい。
(ちょっ・・・!)
そう思った瞬間―――
「オラァ!」
と言う声と共に、何かがトイレの扉を破って、私の頭上を通り過ぎ―――壁に激突した。
ものすごい音で、思わず顔をしかめる。
そして、その“何か”が飛んできた方向をゆっくりと向くと、そこには無表情でチャクラ糸を操っているサソリの姿があった。
「・・・よう、ガキ。便所は済んだか?」
「・・・小南ちゃんとペインさんに怒られるんだから」
しゃがんだままそう言うと、突如、黒い何かがのびてきた。
「ッ!?」
ソレはそのまま私の体に巻きつくと、その場から引っ張り出した。
「ちょっ・・・!?」
「暴れられては困るからな。おい、イタチ。するならさっさとしろ」
そう言ったのは、角都だった。
イタチが無言のまま、私の包帯に手をのばす。
「ダメ・・・だって、ば!―――ッ」
抵抗しようとすれば、きつく締め上げられる。
見れば、“黒い何か”というのは、角都の腕から伸びている触手のようなものだった。