第23章 休息と隠し事
「――はー・・・すっきりした。ね、スイレンも綺麗になってよかった!」
『そうだね。なんか、キミに洗ってもらうと気持ちいいね』
「そう?ありがと」
イタチが用意してくれた服に着替え、居間に戻る。
「おい、ハル。お前、髪濡れてるじゃないか。ちゃんと乾かせ」
「えー・・・」
「ほら、行くぞ。乾かしてやる」
そう言って、イタチは私を連れてもう一度風呂場に戻った。
ブオオオ、とドライヤーの暖かい風が私の頭に吹く。
「ハル、熱くないか?」
「ううん、大丈夫」
「そうか」
自分の名前が呼ばれるたびに、頬が緩んでいるのが分かる。
「なに笑ってるんだ?」
「ううん、なんでもない」
“ハル”と呼ばれるのがなんだか嬉しい。
(本名を呼ばれるだけなのに、なんだか安心する)
にやけっぱなしの私を見て、イタチも小さく笑っていたのが鏡越しに見えた。
居間に戻ると、芸術コンビがいた。
「あれ・・・」
「おう、ガキ。お前、生きてたんだな」
「生きてるよ!」
「旦那、照れなくてもいいじゃねえか、うん。おい、ハル。旦那はな、お前のこと心配してたんだぜ?」
「してねえよ!」
デイダラとサソリが話している。
なんだか、このやり取りも懐かしく感じた。
「うおっ・・・いきなり抱きつくんじゃねえよ、気持ち悪ィ」
「いいじゃん。充電よ、充電。はい、次デイダラー」
「おお、オイラにもか?いいぞ、うん」
ギューッと抱きついて、移動する。
次に行ったのは、夕食の準備をしている鬼鮫のところだった。
「鬼鮫さん」
「ああ、ハルさん。どうしまし・・・」
振り向いてくれた鬼鮫に抱きつくと、鬼鮫はそのまま固まった。
「おい、アイツ固まってんぞ」
「旦那、助けてやれば?うん」
「嫌だ」
そんな会話を背中で聞いていると、鬼鮫が二人の方を見て「・・・あとで覚えておいてください」と言った。
「ハルさん・・・ど、どうしたんです・・・?」
「充電です」
サラッと言って次に行く。
その場を離れて十秒後、すぐそこで二つの悲鳴が響いた。