第22章 中忍試験 2
(あれ?)
カブトは棄権するんじゃないのか?
そう思っていると、私の前に並んでいたサスケが首筋を押さえていた。
「サスケ、痛いの?」
「・・・これくらい、どうってことない」
「あまり・・・無理しちゃダメだよ」
「ああ・・・お前は、痛まないのか?」
「え?あー、私は・・・ちょっとだけ。サスケのは首だから余計に痛そう。ほら、私、手だから」
サスケは少し笑って「んなわけあるかよ」と言った。
サクラが心配そうな表情で私たちを見ている。
「ねえ、サスケくん。やっぱり棄権した方が・・・」
「いや、問題ない」
「でも・・・!」
「大丈夫だよ、サクラちゃん。とりあえず、出てみるだけ出てみよう?ヤバくなったらやめよう。ね?」
サクラは今にも泣きそうな顔で頷いた。
ナルトだけが訳の分からない表情を浮かべていた。
「分かった。でも・・・クロ、アンタは大丈夫なの・・・?痛くない?」
「あー・・・うん。平気だよ」
「痛くない、痛くない」と言うとサクラは眉を下げて前を向いた。
サスケも前を向く。
前で三人が話しているのが窺えた。
そのあとすぐにスイレンの声が聞こえた。
『ウソつき』
「・・・え?」
ふと横に並んでいるオオカミ姿のスイレンを見る。
スイレンは私の手に顔を近づけたあと、私を見上げた。
『「痛くない」なんてウソでしょ』
「・・・バレた?」
『当たり前。僕を甘く見ないでよ。いつも一緒にいるんだよ?』
「・・・まったく。スイレンには敵わないな」
「でもちょっとだよ?」と言い足す。
そう、その通りだ。
本当は少し痛い。
けど、なんとなくバレたくなかった。
(ここからはあまり無茶したらボロが出そう・・・まあ、念のためってことで)
目を閉じて、一つ呼吸をして―――
「はい、私・・・棄権します」
―――私は、手を上げた。
「く、クロ!?お前、」
「えー、木ノ葉の・・・クロさんですね。下がっていいですよ」
「はい」
前の三人が驚いた表情で私を見る。
前の三人だけでなく、周りの全員も私を見る。
そんな視線に苦笑いしているともう一つの声がした。
「あのー・・・ボク“も”やめときます」