第2章 子供時代と一つの事件。
「―――――イタチっ」
「・・・母さん、父さん」
ハルは木ノ葉病院に運ばれた。
今は、集中治療室に運ばれており寝たままだ。
ガラス越しに見える妹の痛々しい姿。
幸い、サスケは打撲程度で命に別状はないらしいが念のため、今日は入院することになった。
―――あの時、イタチは動けなかった。
足が地面にくっついたように、弟と妹が横たわっているのに。
(情けない、)
本当に情けない。血なら、いつも見ているじゃないか。
自分は、汚れ仕事の暗部にいるんだぞ。
もっと酷い現場も見てきただろ。
(本当に)
このまま目を覚まさなかったらどうしよう。
あの時、無理やりにでもあの男をハルから離しておけばよかった。
でも、後悔したってもう遅い。
握りしめた拳に力が入り、それに気付いた母が頭を撫でてきた。
「・・・イタチ。あなたは悪くないわ」
「・・・・・・・」
「ね?」
頭を撫でられたのなんかいつぶりだったか。
慣れないソレに余計に涙が出そうだった。
(・・・今泣くのは、間違いだ)
「・・・ごめん」
イタチは、ただただ、後悔の言葉を口にするだけだった。