第21章 中忍試験
―――というのは冗談で、そう見えるように幻術を使っただけだ。
本物は手に持っている。
だが、そんなことには気づくはずもない三人は目が点だ。
「は・・・?」
「フフ・・・あなた、面白いわね・・・」
我に返ったナルトが草忍に突進していく。
そして―――ナルトは五行封印をされてしまい、落ちそうになったところをサクラのクナイで間一髪、落下を逃れることができた。
ナルトの意識はない。
(ここからが本番ね)
私はタイミングを窺う。
ここから先の闘いに介入するつもりはない。
私が次動くのは、大蛇丸がサスケに呪印をつけようとする瞬間だけだ。
(それまでには少しだけ時間があるよね・・・)
そう思って、スイレンに巻物を預け、私は木にぶら下がっているナルトの元へと急ぐ。
「・・・お疲れさま、ナルト」
ポツリと呟くと、ナルトを抱き上げ、サクラの隣に移動した。
「サクラちゃん。ナルトくんのこと・・・お願い」
「え・・・?ちょっ・・・クロ・・・!」
困惑した声が聞こえる。
だが、それには答えずに私はスイレンの元へと戻った。
『ねえ・・・本気?』
「うん。スイレン、私のやろうとしてること分かってんだよね?」
『まあ・・・でも、無茶苦茶だよ。そんな―――自分から、アイツの攻撃を受けることないのに』
少し訂正するとすれば、攻撃を受けるのではなく、サスケがつけられる呪印を私が代わりにもらおうというつもりだ。
「あれが不発に終われば、その場しのぎで・・・もしかしたら」
(もしかしたら、サスケはこのまま里で暮らし続けることができるかもしれない)
―――だが、そんな考えは甘いこと、あと一分後に知ることとなる。