第21章 中忍試験
サスケとサクラのピンチに間に合ったナルト。
「いいわよナルト!イケてる!」
サクラにそう言われ、得意げなナルトだったが、サスケは違った。
「ナルト!カッコつけて助けに来たつもりだろうが、出しゃばるな!逃げろ!」
「は?」
「コイツは次元が違いすぎる!!」
私はサスケとナルトのやり取りを、後ろで聞く。
(大蛇丸には背中を向けたくないな・・・)
そう思ってのことだった。
「フフ・・・あの大蛇を見事倒して来たようね。ナルトくん」
「おい」
「・・・なにかしら?」
サスケが草忍に話しかけた。
「巻物ならお前にやる・・・頼む。これを持って引いてくれ」
「は・・・!?巻物を敵にやってどうすんだよ!?」
驚くのも無理はない。
現に、知っているからこうして無表情でいられるものの、知らなかったら今のナルトのように言うはずだ。
「“獲物”が“捕食者”に期待できるのは、他のエサで自分自身を見逃してもらうことだけですものね・・・」
サスケは巻物を草忍に向けて投げた。
が、ナルト飛び出して巻物を取り戻す。
「テメェ、余計なことするな!この状況が分かってるか!?―――ッ!」
ナルトが思いっきりサスケを殴りつけた。
「なにをしやがる!!」
「―――お前、サスケのニセモノだろ」
「このウスラトンカチが・・・!オレは本物だ!」
「ウソつけ!」
「ああ!?」
「こんなバカで腰抜けヤローは・・・ぜってーオレの知ってるサスケじゃねー!!」
草忍はその様子をおもしろげに眺めている。
「それに・・・巻物を渡しても、オレたちを見逃す保証はねえ」
「・・・・・・」
「ビビって状況分かってねーのは、お前の方だってばよ!」
ナルトが強い口調で言い切った。
私は、そんな三人の元に移動する。
「ナルトくん」
「・・・なんだってばよ」
「ソレ、私に渡してほしいんだけど」
「い、いいけど・・・」
ナルトが私に困惑した目を向ける。
巻物を受け取った私は、草忍に向かって巻物を持って手を振った。
「・・・?」
そして―――横を向き、大きく口をあけた。
「く、クロ?」
全員に見えるように、私は草忍がしたことと全く同じことをした。
―――つまり、巻物を飲み込んだのだ。