第21章 中忍試験
「あー、すっげー出た!すっきりー!!」
ナルトが言いながら近づいて来る。
『ニセモノ・・・』
スイレンが呟くと同時に―――サスケがナルトを殴った。
サクラが目を丸くした。
「さ、サスケくん!?そこまでしなくても、」
「本物のナルトはどこだ!?」
アンコにつけられた頬の傷が無いことと、手裏剣ホルダーが逆ということ。
この二つのことで気付いたとサスケが言った。
(しかし・・・この人、マヌケだな。ツメが甘いというか、なんというか)
そう思っていると、バレた忍は「巻物を持っているのはどっちだ!」と言って攻撃してきた。
それを避けると、私はサクラに向けて大声で言った。
「サクラちゃん!ナルトくん、探してきて!!」
「く、クロ・・・!でも、アンタ、」
「いいから!」
サクラの言葉を遮るように言うと、サクラは驚きと不安が入り混じったような表情で頷き、さっきナルトが入って行った草陰に走って行った。
「おい、クロ!」
「どういうつもりだ」と言おうとしたのだろうが、私はそんなサスケに親指を立て、軽くウインクしながら言った。
「サスケ、頑張って!」
「はあ!?テメ、こんなときに何言って―――!」
(この忍になら、まだ大丈夫。基本、私は戦いに参加する気はないし。あとは、ナルトが来るのを待つだけ―――)
すると、どこからかその忍めがけてクナイが飛んできた。
「おい、サスケ!チンタラしてんじゃねーよ!!」
「テメェ、ナルト!捕まってたくせに何言ってんだ!」
クナイを投げたのはナルトだった。
意外に早い登場に驚きながらも、勝利を確信する。
戦いを見ながら、思わず口角が上がってしまっていたことに気がついたのは、戦いが終わったあとだった。
ナルトに化けていた忍は、二対一では分が悪いと思ったのか、引いたようだ。
「おい、クロ。お前見てるくらいなら手伝えよ」
「うん、ごめん。大丈夫そうだったから」
「いやー、オレってばまさかあんなところで捕まるとは思ってなかったってばよ!サクラちゃんが来てなかったらどうなってたことか!」
「え?あ、ああ・・・私は何もしてないわよ」