第21章 中忍試験
同意書と引き換えに巻物が一つ渡された。
―――あのあと、私が何か言う前に、ナルトとサクラが来た。
なんとなく言いづらくなってしまった私は、結局そのまま何も言わなかった。
ゲート12に着くと、ナルトが大声で言った。
「よーし!近づく奴は片っ端からぶっ倒すってばよ!」
その直後、アンコの声が聞こえた。
「これより・・・中忍選抜試験、第二の試験―――開始!!」
その言葉と同時に私たちはゲートから、死の森へ足を踏み入れた。
死の森と言われるだけあって、森の中は少し気味悪かった。
「うわ・・・」と声を洩らしながら、スイレンの背中に乗って森の中を進む。
「つーか、クロ!お前、ずるいってばよ!自分だけ楽しやがって!」
「え、私?いいじゃん。ねえ、スイレン?」
スイレンが頷く。
心なしかスイレンはドヤ顔だ。
それを感じ取ったのか、ナルトは指をさして言った。
「クーッ!なんかムカつくってばよ、コイツ!」
「おいナルト。黙れ。デケェ声出してっと、すぐ見つかるぞ」
すると、どこかから叫び声が聞こえてきた。
「ひっ・・・今の人の悲鳴よね!?な、なんか緊張してきた・・・」
「ど、どうってことねーってばよ!サクラちゃん!」
怯えたようなサクラにナルトが励ますように言った。
そのあとで私が言う。
「大丈夫だよ、ナルトくん、サクラちゃん。いざとなったら私とスイレンで守るから」
「は、はあ!?なんでオレまで―――」
「まあまあナルトくん、ビビらなくても、ね?特にサクラちゃんは女の子だし。可愛い顔に傷がついたら台無しになっちゃう」
ケラケラと笑いながらそう言うと、ナルトはギクッと肩を上げ、サクラは「ありがと」と少しだけ和らいだ表情で言った。
「俺ってばちっとションベン・・・」
「!? ちょっと、レディの前で何さらそうとしてんのよ!草陰行きなさいよ!!」
私たちの前で立ちションしようとしたナルトにサクラがドツく。
渋々草陰に行ったナルトを見送ったあと、スイレンの背中から降りた。
(このあと、ナルトに化けた忍が出てくるんだよね)