第21章 中忍試験
「・・・ていうか、私のカンニング、バレてないはずがないよね?」
イビキが十問目の種明かしをしている最中、ふと誰に言うわけでもなく呟いた。
『あ、それなら大丈夫だよ』
「スイレン・・・何かしたの?」
『うん』
「・・・何を?」
『気づかれない程度の幻術を掛けただけ』
(上忍に気づかれないくらいの幻術を掛けたのか・・・?)
スイレンの言葉に、どもりながらもお礼を言った。
(スイレンって謎だな・・・)
そんなことを思っていると、スイレンがふと声をあげた。
「どうしたの?」
『誰か来るよ』
「え?なにが―――」
私が言い終える前に―――けたたましい音を立て、窓ガラスを割って誰かが教室に飛び込んできた。
「!?」
『ほら。ていうか、あれ誰?ハル知ってる?』
唖然としている私―――いや、私だけじゃない、この場にいる受験者たちはみんな驚いていたと思う。
「アンタたち、喜んでる場合じゃないわよ!私は第二試験官!みたらしアンコ!次行くわよ、次ィ!!ついてらっしゃい!!」
スイレンが『うるさいなあ』と呟いた。
「ちょっとイビキ!今年の第一の試験甘かったんじゃないの?なんでこんなに多いのよ!
・・・まあいいわ。次の第二の試験で半分以下にしてやる」
アンコがイビキに文句を言う。
・・・アンコのテンションには誰かついていけるのだろうか。
「・・・おい、クロ」
「っえ、なに?サスケ」
「次の場所に行くぞ」
サスケの言葉で、私もみんなが歩いて行く方向に足を進める。
スイレンは、私の膝から下りるときにオオカミの姿に戻った。
「ねえ、サスケ」
移動の最中、私はサスケに話しかけた。
「なんだ?」
「とりあえず、第一の試験、合格できて良かったね」
「ああ・・・でも、安心するにはまだ早いぞ」
「分かってるよ」
「・・・ならいい」
サスケはポケットに手を入れて歩いている。
ふと前を見ると、ナルトの金髪とサクラのピンク色の髪が見えた。