第21章 中忍試験
結局、それから私がサスケの解答を写すことはなく、再び犬の絵を描いていた。
(バレそうで怖い・・・)
簡単に言うと、ビビったのだ。
(ビビりな私・・・)
すると、急に声がした。
少し驚いてしまい、鉛筆の芯が少し欠けてしまった。
「よし!これから・・・“第10問目”を出題する!」
(あれが森乃イビキ・・・やっぱり上忍ってのは威圧感があるものなのか)
「これは・・・絶望的なルールだ」
サスケが、ゴクリと唾を呑んだのが分かった。
イビキが説明した内容は、漫画と同じようなものだった。
緊迫した場面のなか、私とスイレンだけがその光景を他人事のように眺めていた。
『ねえ、なんでこんなに静かなの?』
「いろいろあるのよ」
「何か質問か?」
「いっいえ・・・」
スイレンの質問に小声で返したつもりだったが、イビキに聞こえていたらしい。
慌てて首を横に振ると、イビキは話を再開した。
「説明は以上だ・・・じゃあ選んでもらうぞ―――・・・“受けない”者は手を上げろ」
シーンと静まった301号室。
だが、しばらくすると、席を立つ人が何人か現れた。
「えっ・・・?」
と、誰かが不思議そうな声をあげた。
サスケが席を立った人たちを横目で見ていた。
私は前を向いたままで、ナルトの後ろ姿を見ていた。
ナルトが手を上げる。
―――それをサスケが目を見開いて見ていた。
「なめんじゃねえ!!オレは逃げねーぞ!!」
驚く受験者たち。教室に響き渡る大声でナルトは続けた。
「受けてやる!もし一生下忍になったって・・・意地でも火影になってやるから別にいいってばよ!怖くなんかねーぞ!」
キッパリと言い切ったナルトをイビキが少しだけ笑ってみていた。
「もう一度聞く・・・人生を賭けた選択だ。やめるのなら今だぞ」
その言葉に、ナルトは大声で言った。
「まっすぐ自分の言葉は曲げねえ・・・オレの忍道だ!」
再び静まり返る教室。
私は、今度は笑ってナルトの背中を見ていた。
「フッ・・・いい“決意”だ・・・―――では、ここに残った全員に“第一の試験”合格を申し渡す!」
(よしっ!合格!)
小さくガッツポーズを決める私の横で、サスケが「はあ!?」と声をあげた。