第21章 中忍試験
永遠に近づくことのない目標は大きく立ちはだかる。
もっと強くならなきゃ、サスケを守れない。
もっと強くならなきゃ。イタチに悲しい顔はさせない。
(今なら、あのときより強くなった。多分、スイレンの力を借りたら平気なんだろうけど)
ここにカブトがいるということは、漫画で読んだ通り、大蛇丸も紛れ込んでいるはず。
思わず、ブルリと体が震えた。
(アイツは、だめ・・・なんか、威圧感が半端じゃない)
さすがは、腐っても三忍。
勝てないことは確実だが、今回の中忍試験で、サスケに呪印をつけにくるだろう。
そこをどう動くか。
「そこは流れに身を任せて、なるようになるって感じか・・・?」
「何がだ?」
「んえっ・・・って、サスケじゃん」
「んえってなんだよ。つーか、他のヤツ、席ついてるぞ」
ふと見渡すと、ナルトの姿は見当たらなくて、カブトの姿もなかった。
「あれ・・・?」
『キミって意外と考え事すると周りが見えなくなるタイプなんだね』
「えっ?なんで?」
「・・・お前、カブトってヤツの話も全然聞いてなかったし。つーか、アイツのことガン見してただろ。知り合いか?」
「いや、全然・・・」
ガン見って・・・私、バレバレじゃん。
自分の失態を反省しながらも、歩き出したサスケの後ろをついていく。
『大丈夫だよ』
「ん?」
『アイツ、気付いてなかったから』
席につく直前、スイレンが言った。
一瞬何のことか分からなかったけど、すぐに気がついて「セーフ?」と聞くと『ギリギリ』と返された。
ほっとため息をつきながら、自分が座った席を確認する。
(ここは?)
キョロキョロとあっちこっち見ていると、横から回答用紙のようなものが配られた。
それを一枚とって横に渡す。
スイレンはいつの間にか、オオカミからネコの姿になっていた。
なので、私の膝の上に座っている。
隣はというと―――。
「あ?なんだ?」
「い、いや、なんでもないよ、サスケ」
小声でのやり取りは誰にも聞かれることなく終わったが、サスケの横というわけで私は少し安心していた。
「ね、サスケ」
「ん?」
「私、バカだから多分一問も解けない。つーわけで見せてね」
「・・・は?」
まあどっちみち、最後までいたらいいんだけど。