第21章 中忍試験
カカシに後押しされ、301号室に入ると、そこにはたくさんの人たちがいた。
『うわっ・・・人酔いしそう』
スイレンが思わずといったように呟いたが、あながち間違いでもない気がする。
私とスイレンは人混みが苦手で、出来るだけそういうのは避けてきた。
「うん、多いね・・・」
色んな額当てをつけている人たちを見て、ふと自分のおでこをさわる。
(三代目からは「つけなくてもいい」って言われたけど・・・良かったのかな)
そこで、ふとサスケの方を見ると、サスケは女の子に抱きつかれていた。
「・・・えっ」
―――「山中いの」だ。
と思うと同時にサスケと目が合う。
「いや、違うんだクロ、これは、」
「いや・・・モテるね、サスケ」
何かを弁解しようとしたサスケに、気にするなと頷いて見せる。
その横でサクラがプンスカ怒っているところで、ふと視線を感じ、辺りを見渡す。
(ゲッ・・・私たち注目の的じゃん!)
試験会場であるここで騒いでいたら、見られるのは当たり前だ。
「ちょっ・・・ちょっと、静かにしようよ・・・」
小さな声でサクラに話掛けるが、サクラは私に見向きもせず、いのといがみ合っている。
「ねえってば・・・!」
少し声を大きくしたとき、第三者の声が聞こえた。
「おい、キミたち」
聞き覚えのある声だった。
「もう少し静かにした方がいいな。アカデミー出たてホヤホヤの新人十人だろ?可愛い顔してキャッキャと騒いで・・・ここは遠足じゃないんだよ?」
「・・・何よ、アンタ」
声の主は、カブトだった。
(やっぱりいるのか・・・)
『こんのクソ眼鏡野郎・・・』
スイレンが威嚇の態勢に入っている。
聞こえてないから良かったものの、スイレンの言葉は聞こえてたら即アウトだ。
とは言いつつも、私も顔が強ばる。
(まだ私はコイツより弱いかな・・・)
少し前にネネの一件で一戦交えた相手。
だが、一戦とも言えないくらい、カブトに遊ばれていた私。
あの一件から、私はもっと強くなることを目標とし、終わりのない努力を続けることを決めた。
せめて、私と同じ年の頃のイタチぐらいに。
「天才」と謳われた兄に、届かないことは分かっているけど、でも諦めるという選択肢はなかった。